第35話
ギルド内の一角。
人の行き交う音から少し離れたテーブルに、一行は腰を下ろした。
「ラビィ!」
声を掛けられて顔を上げると、そこには見覚えのある少女がいた。
人懐っこい笑顔で手を振りながら、こちらへ歩いてくる。
「戻ってきてくれて嬉しいよ。最近こっちでは全然見なかったからさ」
「うん……ありがとう。
でも、いつまでもクヨクヨしてられないしね」
ラビィは少し照れたように笑った。
その様子を見て、ユナもほっとした表情を浮かべる。
「ねえ、ユナちゃん。
サブメンバーのことって、知ってる?」
ラビィの問いに、ユナは一瞬だけ周囲を見渡した。
そして声を落とす。
「……ここだけの話、だよ?」
ラビィがうなずくと、ユナは指を折りながら小さく告げた。
「私、この狼の双子ウルとロウ、それと肩に乗ってる鷹のオウあとはこの子」
ユイはポケットから小さなカメを取り出した。
「ミドリガメのミー。あと他にサブメンバーとして獅子のデータを一つ持ってる」
「え……」
思わず声が漏れる。
だが、ユナはすぐに人差し指を唇に当てた。
「誰にも言ってない。
理由は……最近、厄介な連中がいるから」
「厄介な連中?」
「MK。メンバーキラー」
ユナの表情が少し硬くなる。
「相手のパーティ構成やスキル、サブメンバーを探って、
対策を取った上でわざとメンバーの撃退、消失をさせるの。
直接PKはしないけど、結果的にプレイ遅延を起こさせる迷惑行為」
ラビィは思わず拳を握った。
「そんな……」
「だからね。
サブメンバーの存在とか、詳しい構成は人に話さない方がいい」
そう言って、ユナは立ち上がる。
「忠告だけ。
ラビィ……戻ってきてくれて本当に良かったよ」
「ユナちゃん……教えてくれて、ありがとう」
ユナは軽く手を振り、そのまま人混みの中へ消えていった。
「この場でサブメンバーの話を続けるのは得策ではありませんな」
孔明が低く言う。
「だな。人多すぎる」
コロンブスも周囲を見渡し、肩をすくめた。
「一度、別の区画へ移動しましょう」
ラビィの提案に、全員がうなずく。
一行はギルドを後にし、中央広場へと戻った。
その時だった。
「おや、君たち面白いメンバーが揃って居るね」
不意に背後から掛けられた声。
振り向いた先には、見知らぬ男が一人、立っていた。
広場の喧騒の中で、なぜかその存在だけが妙に目立っていた。
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