第27話
視界が暗転し、次の瞬間、ラビィは自分の部屋に戻っていた。
耳に残っていたはずの崩落音も、半蔵の声も、すべてが途切れている。
「……え?」
呼吸がうまくできない。
震える手で、目の前に浮かぶゲーム端末の表示を見る。
そこには、無機質な文字が並んでいた。
《メンバー不足によりログアウトされました》
《パーティメンバーの消去処理を行いました》
意味を理解するまで、少し時間がかかった。
「……消去……?」
声に出した瞬間、喉がひくりと鳴る。
ラビィは慌てて端末を操作し、パーティメンバーの詳細画面を開いた。
孔明。
ジャンヌ。
コロンブス。
そこまで表示されて、画面は終わっていた。
「……半蔵、さん……?」
何度見返しても、その名前はどこにもない。
表示が遅れているだけだと、自分に言い聞かせて再読み込みをかける。
だが結果は変わらなかった。
半蔵という存在そのものが、リストから消えていた。
思考が、そこで止まる。
理解しようとしても、頭が拒んでいる感覚だけが残る。
ラビィは端末の検索機能を使い、他のプレイヤーたちの情報を漁り始めた。
掲示板。
ログ。
断片的な書き込み。
拾い集めた言葉は、どれも最悪な形で繋がっていく。
・ゲーム内で倒れたパーティメンバーは二度と戻らない。
・同一人物データの再抽出は不可能。
・消失は、削除と同義。
「……そんな……」
そこで、ふと脳裏に浮かぶ。
酒場で、コロンブスが聞いてきた噂。
強制ログアウト。
戻らなかったメンバーの話。
あれは、冗談でも誇張でもなかった。
「……私……」
ラビィの手から、端末が滑り落ちる。
床に触れる音が、やけに大きく響いた。
「私の……せいで……」
声が震え、言葉にならない。
半蔵が庇わなければ。
自分が、もっと慎重なら。
考えれば考えるほど、逃げ場がなくなっていく。
その時だった。
――あまり、自分を責めるな。
脳裏に、静かな声が流れた。
――悪くない旅だった。
最後に聞いた、あの言葉。
感情を抑えながら、必死に伝えようとしていた声。
「……うっ……」
耐えきれず、ラビィはその場に崩れ落ちた。
嗚咽が漏れ、視界が滲む。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
何度謝っても、返事はない。
もう、どこにも。
画面の向こうで、確かに一緒に歩いていたはずの仲間は、
今はもう、データとしてすら存在していなかった。
ただ、半蔵の言葉だけが、
消えずに、ラビィの胸に残り続けていた。
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