第22話
テンポラリアの街へと足を踏み入れた瞬間、ラビィはふと違和感を覚えた。
つい先ほどまでパーティの後ろに居たはずの半蔵の姿が、いつの間にか消えている。
「あれ、半蔵さんまた消えちゃった」
ラビィは少しだけ苦笑して、気持ちを切り替えるように前を向いた。
一行はそのまま中央広場へ向かい、クエスト受注端末の前に立つ。
受注端末へ自らの記録端末をかざす。
画面にはクエストクリアと達成報酬の表示が浮かび上がった。
《おめでとうございます。達成報酬をお受け取りください》
《報酬獲得:150Lを獲得しました》
《アイテム・ギルド入会証を獲得しました》
ラビィが端末を操作すると、入会証は記録端末へと保存される。
ギルドの所在地確認の為、案内図を開く。
街の一角、未来区画の中央にひときわ大きな建物が表示されていた。
「未来区画だね。行ってみよう」
未来的な街並みの中でも、その建物はひと際目を引いた。
ラビィが普段暮らすルナ=アルカディアを思わせる、無機質で整った外観。
入口に設置された端末には、短い表示が出ている。
《ギルド入会証を掲示してください》
ラビィは記録端末から入会証を呼び出し、端末へとかざした。
次の瞬間、一行は淡い光に包まれる。
視界が反転し、足元が一瞬ふわりと浮いた感覚。
次に視界が開けた時、そこはすでに建物の内部だった。
「な、何が起きたのですか?」
「ラビィさん……今のは何事ですか?」
孔明やジャンヌが戸惑いを隠せない様子で周囲を見回す。
ラビィは慣れた様子で説明した。
「ワープって言って、場所を一瞬で移動する仕組みだよ」
「ほう……」
孔明は感心したように頷く。
内部は想像以上に広く、すでに多くのパーティーで賑わっていた。
さすがのコロンブスも、周囲を見渡して目を輝かせている。
「へぇ……これはすげぇな。情報収集どころじゃねぇ」
その時だった。
「ラビィ?」
不意に呼び止められ、ラビィは振り向いた。
そこに立っていたのは、見覚えのある少女だった。
「ユイちゃん!」
同じ学校に通うクラスメイト、ユイ。
人間の少女で、少し緊張しながらも楽しそうな表情を浮かべている。
「そのパーティー……すごいね」
ユイの後ろには、堂々とした狼が二匹と、肩に止まった鷹の姿があった。
そしてポケットから顔を出す小さな亀。
ラビィは思わず目を輝かせ、一匹の狼へと近づく。
「わ〜、すごーい!触っても……」
低く唸る声が返ってきて、ラビィは思わず立ち止まった。
「こら、ダメだよ!」
ユイが優しく声をかけると、狼は大人しくなる。
恐る恐る手を伸ばすと、次の瞬間
ベロン、とラビィの頬を大きな舌が舐めた。
「えっ、わっ……!」
ユイが吹き出し、ラビィもつられて笑ってしまう。
「ごめん、気に入ったみたい」
「ううん、大丈夫……ちょっとびっくりしただけ」
ひとしきり笑った後、ラビィは自分のパーティーメンバーを紹介する。
孔明、ジャンヌ、コロンブス。
「本当はもう1人居るんだけど……すぐに消えちゃう人で……あはは……」
ラビィはやれやれと言う感じでユイに言った。
「はは……変わった人たちだね」
「うん、でも頼れる人たちだよ」
短い雑談の後、二人はそれぞれの目的へと戻っていった。
ラビィは改めて、ギルド内に並ぶ大量のクエスト案内へと視線を向ける。
まだ見ぬ冒険が、そこかしこに待っているようだった。
「さて……次は、どれにしようかな」
そう呟きながら、ラビィは仲間たちの方へと振り返った。
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