第16話
「おっ、あそこはどうだ?」
真っ先に声を上げたのはコロンブスだった。
始まりの街から続くいくつもの区画の中で、ひときわ賑わいを見せている中世欧州区画を指さす。
「なんだか……活気がありそうだね」
ラビィも頷き、一行はその区画へと足を向けた。
近づくにつれて、不思議な感覚に包まれる。
海はどこにも見当たらない。
それなのに、どこか潮の匂いを感じさせる空気が漂っていた。
区画の中は、港町をいくつも繋ぎ合わせたかのような広さだった。
木造の建物が立ち並び、石畳の道には露店がずらりと並んでいる。
呼び込みの声や笑い声が混じり合い、街全体が生き物のように脈打っていた。
「あぁ、この雰囲気...懐かしいな……」
コロンブスは周囲を見渡し、目を細める。
露店の一つで、食べ物屋の店主が声をかけてきた。
差し出された物は、香ばしい匂いはするものの、形も色も見た事ののない料理。
「これ...なに?」
ラビィは首を傾げた。
孔明は一歩引いた位置からラビィが手渡された物を見て、眉をわずかに寄せる。
「見た目から判断するのは、少々難しそうですね……」
ジャンヌも不安そうに手を胸の前で組み、
「た...食べても大丈夫なの、でしょうか……?」
と小さく呟いた。
「はっはっは! 細かいことは気にするな!」
そんな三人の反応をよそに、コロンブスは迷いなく料理を受け取る。
「見たことはなくても、匂いで分かる。港で食った飯に、そっくりだ」
そう言って豪快に一口かじる。
「ああ、やっぱりだ。悪くねぇ!」
その様子を見て、ラビィは少しだけ力が抜けた。
(データ、なんだよね……?)
そう思いながらも、不思議と違和感はなかった。
楽しそうに食べる姿を見ていると、自然とラビィの頬も緩んでしまう。
「よしっ!まず情報を集めるなら、酒場だ!」
食べ終えたコロンブスが、当然のように言った。
「やっぱり、そうなんだ」
「昔も今も変わらねぇ。酒と噂は、よく混ざる」
一行は、区画の奥にある酒場へと足を運んだ。
中にはNPCだけでなく、他のプレイヤーたちの姿もあった。
談笑している者、真剣な顔で話し込んでいる者、黙って酒を傾けている者
それぞれが思い思いに時間を過ごしている。
「ここは任せとけ」
コロンブスは軽く手を振り、NPCや他プレイヤーたちの方へと歩いていった。
孔明はその様子を静かに観察し、ジャンヌは周囲を興味深そうに見回している。
半蔵の姿は見えないが、どこかで気配だけは感じられた。
「おい、妙な話を聞いたぞ」
戻ってきたコロンブスは、少しだけ声を落として言った。
ラビィは、思わず身を乗り出した。
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