第15話
ログイン直後、ラビィの視界は大きく開けた。
物語の拠点となる街――《テンポラリア》
そこは巨大な円形の広場だった。
巨大スクリーンを中心に噴水が周囲を囲む。
そして中心の広場から外周へ向かって放射状に街並みが広がっている。
原始区画、古代中国区画、中世欧州区画、戦国和風区画、近代都会区画、未来都市区画、そしてイベント開催区画。
ただ見渡すだけでさまざまな時代が混在していると分かる。
建物だけではない。
そこを行き交うNPCたちも、区画ごとに服装や雰囲気、話し方が異なっていた。
「すっごーーい!」
思わず、ラビィの口から声がこぼれる。
一歩も動いていないのに、この世界の広さと奥行きが伝わってきた。
視線を巡らせると、他のプレイヤーたちの姿も見える。
それぞれが異なるパーティーメンバーを連れ、広場を歩き、ある者は街区へ、ある者は建物の中へと消えていく。すでに探索を始めている者も多い。
世界は、もう動き出している。
広場の正面には、巨大なスクリーンのような投影装置が設置されていた。
各街区の案内や主な施設が、ひと目で分かるように表示されている。
その時、視界の端に通知が浮かんだ。
《プレゼントが届いています》
ラビィはそれを開き、中身を取り出す。
様々な情報や装備品、道具、人物、場所、イベントなどを保存・記録できる補助アイテムだった。
試しに広場の案内情報を保存する。
「うん、かなり便利そう」
小さく頷き、ラビィはパーティーメンバーたちを見回した。
「まずは旅支度だよね。よし、とりあえずみんなで街を回って見よ!」
その瞬間だった。
「……必要なら呼べ」
低く短い声。
半蔵はいつの間にか距離を取り、次の瞬間、影の中へ溶けるように姿を消した。
「え、ちょっ…」
返事はない。
だが、不思議と不安は感じなかった。どこかで確実に見られている、そんな気配だけが残る。
「まったく……協調性ってもんを知らねぇのかあいつは!」
コロンブスはハァと呆れたように空を見上げて頭の後ろで腕を組む。
「まあ、忍びという生き方ですからね」
孔明は苦笑しつつ、扇を軽く仰ぐ。
「ふふっ」
とジャンヌは柔らかく笑った。
その笑顔を見て、ラビィの肩からも自然と力が抜ける。
(うん、大丈夫)
世界は広い。
そして、仲間がいる。
ラビィは改めて、始まりの街を見渡した。
ここから、《クロノス・レガリア》の旅が始まる。
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