第13話
ルナ=アルカディアへ帰還したラビィは、部屋に入るなり端末を起動した。
抽出を終えたばかりのデータが、まだ仮登録のまま表示されている。
「……コロンブス、っと」
指先で確定操作を行うと、画面が一瞬だけ淡く光り、正式登録完了の表示が浮かび上がった。
すぐにパーティーメンバー一覧が更新され、四つの名前が並ぶ。
諸葛亮孔明。
ジャンヌ・ダルク。
服部半蔵。
そして、クリストファ・コロンブス。
「揃った...」
小さく、けれど確かな声でラビィは呟いた。
続いてパラメーター画面を開く。
コロンブスの数値は、やはりというべきか、どれも平均値を上回っていた。
腕力、耐久、俊敏。
知識、愛情、悟性。
そして交渉。
やはりと言うか、交渉の数値だけは、他の三人と並べてもひと目で分かるほど高く設定されている。
「うん……これは、納得」
世界を渡り歩き、人と人、国と国の間を行き来してきた男だ。
戦闘だけでなく、これから始まるゲーム内のあらゆる局面で力になってくれるだろう。
ラビィは満足そうに画面を閉じた。
これで、四人。
ルール上、これ以上の準備は必要ない。
「いよいよだね。」
ログインボタンに視線を落とし、指を伸ばしかけたが、その動きは途中で止まった。
部屋の時計を見ると、すでに夜も深い時間だ。
明日からは連休。
時間は、たっぷりある。
「焦らなくても、逃げないし...明日から始めよっかな。」
自分に言い聞かせるように笑って、ラビィは端末をスリープ状態にしベッドに潜り込んだ。
天井を見上げラビィは思う。
明日から始まる、《クロノス・レガリア》の旅。
過去と未来、現実とゲームが交差する世界。
そこで、自分は何を見るのか。
誰と、どんな時間を過ごすのか。
胸の奥が、ふわりと弾む。
その高鳴りを大事に抱えたまま、ラビィはゆっくりと目を閉じた。
風は、すでに動き始めている。
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