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第11話

朝の教室は、いつもより少し騒がしかった。


「もう始まったんだって!」

「昨日の夜、ログインできたらしいよ」


机を挟んで、あちこちからそんな声が聞こえてくる。

早くも前評判通りの大人気作となりつつある

《クロノス・レガリア》の正式サービスがついに始まった。


ラビィは窓際の席で、ぼんやりと空を見上げていた。


(スタートダッシュは……無理だったなぁ)


悔しさがないわけじゃない。

でも、不思議と焦りすぎてもいなかった。


前回の2000年代アメリカへの遡行。

穏やかな拒否。

あのやり取りが、まだ胸の奥に残っている。


(次は……ちゃんと、うまくやろう)


誰でもいいわけじゃない。

強ければいいわけでもない。


ラビィは、静かに次の行き先を思い浮かべた。


(あの人が居るのは確かスペイン……だよね)


それ以上は、まだ考えない。

今は、そこまででいい。


放課後。

帰宅後の部屋で、ラビィは転移装置を起動した。


光に包まれ、感覚が切り替わる。


次に視界が開けた時、

そこには強い日差しと、潮の匂いがあった。


石造りの建物が並び、港には無数の船。

人々の声は大きく、活気に満ちている。


ここはスペインの港町 パロス・デ・ラ・フロンテラだった。


(すご……元気すぎる……)


荷を運ぶ人、叫ぶ商人、笑い合う船乗りたち。

歩いているだけで、エネルギーに当てられそうになる。


しばらく情報を集めるように歩き回り、

気付けばラビィは、港近くの酒場の前に立っていた。


中から聞こえてくるのは、陽気な笑い声。


覗くと、ひときわ声の大きな男が、

身振り手振りを交えて何かを語っている。


「それでな! 海の向こうには――」


話の続きを聞く前に、目が合った。


「おや?」


男はニッと笑い、手を振る。


「見ない顔だな。お嬢ちゃん!旅の人かい?」


少し戸惑いながら、ラビィは答える。


「え、えっと……はい。ちょっと、色々あって」


「そうかそうか!」


男は豪快に笑った。


「俺の名前は――」


そこで、ふっと名乗り、

ラビィはその名前を胸の中で繰り返した。


(……この人、か)


港町の喧騒の中、

新しい出会いが、静かに始まろうとしていた。

ここまでお読み下さり本当にありがとうございます!


更新日時は毎日致します。

平日:7時頃、12時頃、20時頃の1日3話

土、日、祝:12時頃、16時頃、20時頃の1日3話

で行います。


少しでも

面白かった。続きを読んでみたい。頑張って。と思われた方、よろしければブックマークもお願いします!

感想などもお待ちしております。

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