第106話
聖女マリアの詠唱が重ねられ、俺つよの覇気がさらに高まっていく。
その身体から放たれる圧が、リング上の空気を震わせた。
「行きます!」
先程よりも明らかに鋭い踏み込み。
英雄の如き加護を纏った俺つよが、一直線にラビィへと突進する。
反射的に、コロンブスとヴラドが前に出ようとした。
だが――
「二人とも止まって!」
ラビィが二人を制する。
「これは……止められないです。止めたら、お二人とも消えちゃいますよ」
その言葉に、コロンブスとヴラドは歯を食いしばり、その場に留まるしかなかった。
次の瞬間。
俺つよの一撃が、確かにラビィを捉えた。
――だが、衝突の刹那。
ラビィは後方へ蹴るように跳んだ。
《兎の跳躍》。
衝撃を真正面から受け止めるのではなく、威力を流す。
二人の身体は互いに弾かれるように、後方へと流されていく。
「今だっ!」
リング際、ほとんど限界の位置。
ラビィは即座に《闇兎》を発動し二人は闇の中へ、続けざまに《月兎》を重ねラビィから強烈な光が発せられた。
闇と光の連携が、俺つよの突進の推進力をわずかに、しかし確実に削いだ。
その一瞬の差。
「最後!」
ラビィは、俺つよの背後へ回り込み、一撃を叩き込む。
勢いが付き過ぎていた俺つよは、止まれなかった。
身体はそのまま前へと投げ出され――
リングアウト。
猪突猛進が招いた結末。
咄嗟の判断と機転が光ったラビィの勝利により、準決勝第二試合は幕を下ろした。
「さすがに……準決勝ともなると、簡単には勝ち上がれないね……」
ラビィは、少し苦笑いを浮かべながら、そう呟いた。
実況が興奮し叫ぶ。
「準決勝第二試合!勝者は――!!ラビィパーティだぁ!!」
観客席で見ていた佐助たちも興奮し歓声をあげる。
「スゲッ、スゲェーなラビィ!」
「本当に強いですね……あの方は」
「さっすがラビィさん!」
《クロノス・レガリア 1stAnniversary Grand Tournament》も残す所あと一戦。
会場のボルテージは最高潮へと高まる。
団体戦決勝 《レガリア・ドミネーション》の称号を勝ち取るのは果たして……
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