第104話
会場の空気が、目に見えて重くなる。
「準決勝第一試合――!」
実況者の声が響く。
「グルーパーティ!!」
その名が呼ばれた瞬間、会場中から激しいブーイングが巻き起こる。
怒号、罵声、拒絶。
だが、スーツ姿のグルーはそれらを一切意に介さず、無表情のままリングへと上がった。
胸ポケットには、変わらず四本の花。
続いて実況者が声を張り上げる。
「対するは――クライガーパーティ!!」
爽やかな雰囲気のクライガーが、静かな足取りでリングへ。
その後ろには、例の中年男性たち。
相変わらず場違いにも見えるその面子に、観客のざわめきが広がる。
両雄がリング中央に並ぶ。
ブーイングの中、グルーが口を開く。
「貴方のメンバーも……葬らせていただきますよ」
それに対し、クライガーはフッと笑い、後ろを振り返る。
「だってさ」
軽い一言。
「……それでは!準決勝第一試合、試合開始!!」
開始の合図と同時に、グルーはクライガーには一瞥もくれず、そのままメンバーたちの方へと歩みを進める。
クライガーは動かない。
助けに行く素振りすら見せず、ただ静かに見ている。
「……はぁ。ヤレヤレですね」
呆れたような声。
気付けば、中年男性のメンバーがグルーの懐に入り込んでいた。
いつの間にか取り出されていたナイフが、迷いなく振るわれる。
一閃。
グルーの喉元を切り裂いた刃。
「ば……馬鹿な……」
言葉を残し、グルーの身体が光に包まれ消失する。
クライガーが肩をすくめて言う。
「あーあ。ジャックさん、怒っちゃったじゃん」
観客がどよめく。
グルーの喉元を切り裂いた中年男性。
その正体は――
切り裂きジャック。
ジャック・ザ・リッパー、その人であった。
実況者が叫ぶ。
「勝者ぁ!!クライガーパーティ!!」
だが、安堵は一瞬だった。
転送エリアに現れたグルーが、納得いかない様子で観客席へと凶刃を向ける。
その瞬間。
「はい、ストップ」
グルーの腕を掴むアース。
同時に、佐助が刃物を押さえ込む。
そして――ヒロの一撃。
グルーは再び転送エリアへと飛ばされる。
次の瞬間。
コツン。
後ろから軽く頭を叩かれ、グルーはそのまま気絶した。
叩いたのはユイだった。
「もー、ダメだよ?」
ユイはアースたちに向かってピース。
アース、佐助、ヒロもニコッと笑ってピースを返す。
会場に、ようやく安堵と笑いが戻る。
実況者が気を取り直して叫ぶ。
「それでは――準決勝第二試合のコールです!!」
団体戦は、いよいよクライマックスへと進んでいく。
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