第103話
一回戦最終、第4試合のコールが会場に響き渡る。
「続いての対戦は――忠義パーティ!!」
重々しい足音と共に、鎧甲冑に身を包んだプレイヤーが堂々と歩み出る。
その背後には、西洋のナイトを思わせる重装甲の戦士、遊牧の民の戦装束を身に纏った者など、各国各地の武装を施したメンバーたち。
統一感はない。だが、その全員から歴戦の気配が漂っていた。
「おお……」
「本格派だな……」
観客の声が自然と低くなる。
実況者が続けて叫ぶ。
「対するは――俺つよパーティ!!」
先程のアアアアパーティの一件もあり、観客の視線は一斉に登場ゲートへと集中する。
……そして。
ゲートから現れたのは、一人の少年だった。
メガネをかけ、少し猫背。視線は定まらず、オドオドと落ち着きなく歩いてくる。
「……え?」
「子供?」
ざわめく会場。
その少年の後ろから、空気が一変する。
白馬に跨った金髪の騎士。
シスター服に身を包んだ穏やかな表情の聖女。
そして、長い年月を感じさせる佇まいの老魔法使い。
――まるで物語から抜け出してきたかのような、正統派“勇者パーティ”。
実況者が言葉を失いかけながらも、試合開始を告げる。
「……では!試合開始!!」
開始と同時に、忠義パーティは迷いなく散開した。
あらかじめ決められていたかのような動きで、それぞれが役割を果たす位置へと走る。
「マスター……作戦はいかが致しましょうか?」
騎士が、白馬の上から静かに問いかける。
俺つよは一瞬考え、小さな声で、しかし的確に指示を出す。
敵の陣形、その僅かな綻びを。
次の瞬間。
老魔法使いの詠唱が終わり、魔法が忠義パーティの一角を撃ち抜く。
そこへ、騎士が白馬と共に一気に突撃。
「ぎゃっ!」
「ぐっ!」
忠義パーティの二名が、ほとんど抵抗も出来ぬまま消失した。
「……集結!」
即座に判断し、残る三人が一度距離を取る。
その間に、聖女が俺つよへと近づき、淡く光る加護を施す。
「マスター、完了致しました。お気をつけて……いってらっしゃいませ」
優しい微笑む聖女。
その言葉と同時に。
俺つよの雰囲気が、一変した。
さっきまでのオドオドした少年の面影は消え、堂々とした佇まい。
まるで英雄のような、圧倒的なオーラを纏っている。
騎士と魔法使いが一歩下がる。
「マスター、あとは大丈夫でしょうか?」
騎士の問いに、俺つよはコクリと頷いた。
「ヤレヤレ……マスターは立ち上がりが遅いのう」
老魔法使いが苦笑する。
忠義パーティの三人は、新たな作戦に移行するかのように再び散開し、同時に攻め上がる。
――だが。
ドンッ。
鈍い音が、一度だけ響いた。
次の瞬間、忠義パーティのプレイヤー忠義が消失する。
音速のような一撃。
誰も、その動きを捉えられなかった。
実況者が息を呑み、遅れて叫ぶ。
「しょ、勝者ぁぁ!!
勝者、俺つよパーティ!!」
会場は一瞬静まり返り、そして大歓声に包まれた。
戦いが終わると、俺つよはフッと肩の力を抜き、元のオドオドした姿へと戻る。
それを見て、騎士と聖女、魔法使いがハハと笑いながら勝利を喜ぶ。
こうして、一回戦は全て終了。
残すは――団体戦準決勝二試合、そして決勝一試合。
闘技大会は、いよいよ佳境へと突入する。
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