第99話
いよいよこの闘技大会イベント最大の目玉、パーティバトル当日がやって来た。
イベント会場前には、すでに人だかりが出来ている。
予選で敗れたプレイヤーたちも、今日は観客として集まり、その行方を今や遅しと待ち構えていた。
「今日が本番だよな……」
「やっぱ団体戦が一番ヤバいよな」
そんな声があちこちから聞こえてくる。
会場前に設置された巨大スクリーンには、派手なエフェクトと共に本日のイベント内容が表示されていた。
そこに映し出される、堂々たる文字。
――《レガリア・ドミネーション》――
五人一組、パーティの総合力を競う最終決戦。
それを見上げた観客たちから、自然と歓声が上がる。
「早く始めろー!」
「待ちきれねぇぞー!」
そんな野次を浴びながら、実況者は苦笑い混じりにマイクを握る。
やがて、予定時刻を告げる電子音が鳴り響いた。
――照明が落ちる。
会場が一瞬で闇に包まれ、次の瞬間、スポットライトが一点を照らした。
そこに立つのは、実況者。
「お待たせしましたァァ!!
一昨日、個人戦《最終兵器》の称号を手にした男――呂布奉先!!
そして昨日、複数戦を制した――ラビィ&ドラキュ組!!」
観客席から、割れんばかりの拍手と歓声が巻き起こる。
「そして今日!!
この《クロノス・レガリア》一周年記念大会、最後の称号――
《レガリア・ドミネーション》を掴み取るのは、
一体どのパーティなのかァァ!!」
会場内巨大スクリーンにトーナメント表が表示された。
ライトが一斉に点灯し、リング前のゲートが開く。
「それでは、団体戦一回戦第一試合のパーティをご紹介します!!」
最初に呼ばれたのは――
「美香りんパーティ!!」
華やかなエフェクトと共に、美香りんパーティが登場する。
アイドルプレイヤーとして名を知られる美香りんの姿が見えた瞬間、観客席の一角から統率の取れた応援が炸裂した。
「美香りーん!!」
「今日も可愛いぞー!!」
美香りんは満面の笑みで手を振り、くるりと一回転してから観客席へ投げキッス。
「応援よろしくぅ〜!」
その一言で、応援団はさらにヒートアップする。
「続いて――
グルーパーティ!!」
実況の声に合わせ、次のゲートが開いた。
――だが。
姿を現したのは、たった一人。
スーツ姿の男が、ゆっくりとリングへ向かって歩いてくる。
「……は?」
「一人だけ?」
観客席がざわつき、美香りんの応援団からも容赦ない野次が飛ぶ。
「人数足りてねーぞー!」
「帰れー!」
男は気にも留めず、淡々と歩き続ける。
その胸ポケットには、三本の花が静かに差し込まれていた。
実況者が一瞬、言葉を失う。
会場の空気が、わずかに変わった。
――この男、ただ者ではない。
ざわめきの中、グルーは静かに立ち止まり、リングを見上げる。
その表情は、笑っているのか、そうでないのかすら判別できなかった。
団体戦。
ここから、本当の意味での“最終決戦”が始まろうとしていた。
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