9-⑮ 1月1日 ゼロ 世界の終わり
1月1日 深夜0時。
世界の終わりと新世界のはじまりを迎えた。
「カラーーーーーーン」
それと同時に、あの鐘の音が鳴り響く。
そして、残響の中、世界はグレーに染まり、時が止まった。
「あー、なるほど。そうなるのか」
『やあ、久しぶりだね。まずはここまでよく頑張ってくれたね』
どこからともなく、神様の声が聴こえた。
「神様、お久しぶりです。力をありがとうございました。無理をさせてしまったのかもしれませんが、おかげで備えは進みました」
『本当だよ。キミの求めた能力は予想の斜め上だった』
「すみません……。あのときは私もパニックで咄嗟に思いついたのがアレでした」
『結果的にいい選択になったね。というか、過去最強のチートの誕生だよ。キミたちの世界で言うところの「ぶっ壊れ性能」だな。私も正直驚いた』
「え、そうなのですか?」
『このままじゃマズイと思って私も慌ててコースを新設したんでね。まさかここまでとんでもない能力になってしまうとは思わなかった。神が関与できる制限を大きく超えてしまった』
「え、それって大丈夫なんですか?」
『グレーだな。次は使えないだろうね』
「取り上げられるなんてことはないんですね。よかった」
『大丈夫だよ。……それから頼みを聞いてあげられなくてすまなかったね。私には何もできなかった』
「あ………私こそ……失礼なことを言ったのかもしれません。夢中で覚えてなくて」
『すごい人だね。とっくに寿命は尽きていたんだよ。息子の成長を見届けたい一心で成し遂げた。私の力は使えないからね。ご自身の意志の力だ』
「……そうだったんですね。嬉しいな」
『そうやって周りの人に力を出させるのもキミの武器だな。それがこのあと大きな力となるだろう』
「え、そうなのですか」
「例えば魔法かな。普通ならキミ以外は使えないと聞いただろう。それが当てはまらない人があまりに多いようだ」
「え! 確か魔素が馴染むまで何世代かかかるっておっしゃいましたよ」
「普通はね。でもキミは意識せず周りの人たちに幸運を分け与えてるみたいだよ」
「どんな魔法が使えるようになるんですか?」
『詳しくはこのあとあの人に聞きなさい。私の時間はそろそろだ』
「そうなんですね。もう少し話したかったですが……私は備えを満足いく形で迎えることができました。神様のおかげです。新世界でも頑張ります。ありがとうございました」
『うん。私も嬉しかったよ。あとは任せる。いい世界にしておくれ』
――――――――
空気が少し変わる。
そして静かな声が響く。
『また会えましたね』
「お久しぶりです。また声が聞けて嬉しいです」
『私もです。これだけ盛大にネタばらしをして生き残れるなんて正直驚きました。本当にあなたは常識を超えてきますよ。さあ、チュートリアルの時間です。はじめましょう」
「え?」
優しい声の人はそう告げたのだった。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
ついにカウントダウンゼロです。
準備編が終わり、いよいよ新世界へ突入します。
これからもお楽しみいただければ嬉しいです!




