9-6 12月27日 5 エネルギー問題。そして清山へ
12月27日深夜0時を迎えた。
歪んだのは広島。
中心は原爆ドームだった。
悲劇の象徴を中心地としたこの皮肉に私は少し怒りを覚えたのだった。
『やはり選ばれてしまいましたね。避難該当エリアに指定しておいて良かった。いい判断だったな、ツバメ』
「呉が揺らぎの圏内に収まらなかったのは不幸中の幸いでしょう」
『横須賀と呉は海の重要拠点ですからね』
『国民の反応と避難の進み具合は?』
「これだけの規模です。もちろんそれなりにパニックにはなっていますが、自衛隊と警察がよく対応してくれています。富川もメディアをコントロールしてくれてるので最悪の想定より混乱は抑えられています」
「首脳たちの反応はどうですか」
『中国は揚げ足を取るのに必死になってやがる。コロナの腹いせだな。私たちに従わないとは忌々しい。調子に乗りすぎだあの国は』
アンダーソン、キミは変わらんな。安定だ。
「同盟国への説明は進んでいますか?」
『それは順調だよ。そこでツバメに相談がある。カナダとイギリスには真実を伝えたい。国同士としてのパートナーシップもあるが個人的にも信頼している相手だ』
「もちろんです。もうあと数日ですからこれからは大統領の判断で開示して構わないと思います」
『わかった。ではそうさせてもらうよ。信じてもらえたら明日からこの会議にも加わってもらおうと思う』
「いいと思います。あとこちらからは現時点での日本の拠点候補を共有しておきます。今後の事象エリアにもより変更しますが」
『こちらも選定中だ。近く共有させる』
「事象さえ起きなければ青森と沖縄は横須賀と同じく米軍基地と連携できる有力拠点になると思ってます」
『そのとおりだな』
「あとはエネルギー問題です。備蓄も進めますが使用期限のあるものです。継続して生産継続できる環境を維持しなければなりません」
『新世界でどれだけ制海権が押さえられるかわからない。輸入出にはかなりの制限がかかるだろう。日本は精製工場の死守が最大課題だな』
日本の石油コンビナートは太平洋ベルトと呼ばれるライン上にある。
この中でも倉敷の海島は最大の精製能力を有している。
ほかにも千葉の湾岸エリアと川崎コンビナートはどうにか死守したい。
熱山で学んだことだが、港は拠点化に向いている。
陸地から張り出した作りは要塞へ転換しやすい面があるのだ。
精製工場が押さえられたとしたら、あとは原油の入手。
中東からの輸入は途絶えてしまう可能性が高いが、世界一の石油産出国はアメリカだ。
タンカーさえ動かせれば原油は手に入る。
あるいは、制空権が取れるなら私が飛んで収納すれば済む話だ。
また量は少ないが日本にも油田はある。
新潟、秋田と北海道の岩狩だ。
ここも大切な守るべき拠点となる。
日本の事情を知っている大統領は、日本への原油提供を確約してくれた。
その時にならないとわからないが、制空権と制海権の死守についても重要な課題ととらえたのだった。




