8-3 業界人、メンバー集結
拠点の武装についてはアドバイザーから高評価をもらえた。
海戦という大きな課題はあるが、ほかは十分メドはたっている。
そして海外組が続々と清山に到着していく。
先着はマイク、アンジー、ゴロー、アンナ、 リアムで、それに続いて、韓国から成くんのチームも来日した。
またコンテナハウスをすべて回収した小里も拠点入りをしたのだった。
みんなをタワーに招待して拠点内部をざっと説明した。
「みんなこれまでありがとう! ここがメインとなる清山の拠点だ。みんなの家も用意したからまずはゆっくりしてくれ。それぞれの役目に便利なように配慮して家を配置したつもりだが、不具合があれば遠慮なく言ってほしい。預かった荷物は家に運んであるからな」
「いやあほんまにデカイ拠点やな。そりゃコンテナハウスはなんぼあっても足らんわけや」
「おかげで助かったよ。小里チームにはハウスのメンテナンスを担当してもらう。居住エリアは東西南北に割り振らせてもらったよ」
「了解や。まかしとけ」
「成くんの家は病院棟の近くだ。あそこにちょっと見えるだろ。広めのモーターホームだから家族と住んでくれ。スタッフもそばにコンテナハウスを用意してある」
「ありがとうな。世話になるわ」
『オレのガンショップもあるのか?!』
「配置はもう少し待ってほしいんだ。新世界が来たら解放するから、それまでは銃の整備を頼むよ。あとマイクには射撃訓練を担当してもらいたいんだ」
『もちろんオッケーだ』
「ゴローとアンナの店は収納から出してある。明日には備蓄塔の車両班を紹介するよ」
「アンジー、リアム! 明日は土曜だからファームに子どももたくさんくるよ! ヒカリ姉さんが案内してあげるから楽しみしててね!」
「「やったー!」」
それから警備のちょっと見た目が怖い人たちも紹介する。
知らないと会ったときに怯えてしまいそうだからな。
ヒカリも含めてツバメプロのタレントたちも意図的に仕事をセーブさせている。
外の仕事はもうすぐ早めの仕事納めで、ここ数日で全員が清山入りしてくる。
ここでも動画配信でタレントとしての活動は継続させる。
引き続き防災キャンペーンで潜在的な意識づけを仕掛けてもらう予定だ。
彼らの住まいは扱いにちょっと迷った。
タレントなので一般人と混ぜるにはまだ刺激が強すぎるかもしれないという判断だ。
なので私とヒカリのキャンピングカーのそばにコンテナハウスのユニットを組んで、男女別にシェアハウス形式で住ませることにした。
彼らの家族や友人は年末のオフに合わせた「家族同伴の社員旅行」としてここに呼んである。
趣向を凝らしたキャンピングカー泊としてまだガラガラの民間エリアに入ってもらう予定だ。
―――――――
拠点では上下水道が全エリアに開通した。
設備はできていたものの、肝心の水源がこの規模に見合わなかったのだ。
先行していたオフィシャルゾーンにしか回っておらず、まだ人が入ってない住民エリアは後回しになっていたがこれで解決だ。
プロパンガスもあとは巨大タンクを年末頃に回収して配置するだけ。
太陽光発電はこれでもかというくらい近隣にセットしたのでいつか電力が途絶えたとしても問題はない。
新世界の状況によっては風力発電の設備も拝借することを考えていたのだが、どうやら必要ないとのことだった。
あとは関係者家族たちの現地入りを待つだけだ。
どうにか生活レベルはそれほど落とさずに拠点を整えることができた。
ちょっとした田舎暮らしみたいな感じだろうか。
いや、機密フロアは最新テクノロジーの塊だけど。
ここで仲間とその大事な人たちを守るのだ。
―――――――
翌日は朝から自衛隊との打合せとなった。
拠点は順調とはいえ、そろそろ時間もタイトになってきたので弟子ズにヘリ送迎を頼んだ。
受け取ったアドバイザーの武装案は納得のいくものだった。
具体的な武器を提示されると防衛イメージも湧くというものだ。
足りないのはレーダー類だ。
ありがたいことにアメリカ側から提供を申し入れられたがまずは国内で賄えるか調整してからの返答とした。
今日はその確認と、打診していたスナイパー部隊についてのヒアリングとなる。
「自衛隊の狙撃手はかなり優秀なんだな。何人もオリンピックで結果を残してるじゃないか」
「ええ、東京では金も取ってますからね。隊には優秀なヤツがかなりいますよ」
「合同演習に貸し出すなら何人借りれる? 不在時に有事があることを前提にして、隊の任務に支障のない範囲でだ」
「………4人ですね。有事想定ならその中にエースは入れられません」
「いい判断だ、仁田副司令。では4人をここに」
「ハッ!」
やがて男性3名、女性1名が入室し、ハキハキと挨拶をする。
うん、みんないいオーラだ。合格。
仁田に頷く。
「明日から君たちは統合作戦司令官の特命で動いてもらう。狙撃に特化した日米合同の作戦訓練に2週間参加する。装備と日数分の準備をして明日正午にここに集合だ」
「ハッ!」
「期待しているよ。明日からよろしく」
「ハッ!」
「下がれ!」
「やったぜ!」
「信じられない!」
「最高だ!」
「ツバメ大臣の特命キターーー!」
廊下の遠くから歓びの声が聞こえた。
「すみません、司令官。あとで叱っておきます」
「いいよ。やけに喜んでるな」
「司令官はいまや全隊員の憧れの的ですよ。防衛大臣としても統合作戦司令官としてもです」
「それは嬉しいね。期待に沿わないとな」
―――――――
翌日、4人を乗せてヘリで清山へ入る。
マイケルも軍から選抜した隊員を2名連れてきている。
『今日からこのメンバーで合同演習を行う。お互いに競い合っていい訓練にしてくれ。ツバメ!』
『この施設を管理している金沢だ。特殊な環境だがそれも含めた演習だ。成果に期待している』
『『イエッサー!』』
「「「「ハッ!」」」」
6人のトレーニングはマイケルのチームが受け持つ。
まだ人の入っていないウエストタワーを拠点に活動してもらうことにした。
そこを出た私はというとノースタワーへ来ていた。
ここではメグの戦闘班が合宿をしているのだ。
メグの部隊は警備班と白兵部隊だ。
どちらも近接スタイルでの戦闘が主体だが、来る新世界では相手がモンスターである。
まともな白兵戦を仕掛けるわけにはいかないのでもう少し距離を取れる戦闘スタイルを模索しているところだ。
「なかなか収まりがつかないようだな」
「刀が主力武器で銃はオマケでしたからね。急に逆にしろと言ってもなかなかクセは抜けないでしょう」
「とはいってもモンスターだからな。いわばライオンや虎を相手にするようなもんだからな」
「いや、あいつらそれくらいなら刀ひとつでヤれますよ」
「まじで?」
「たぶん。クマなら素手でイケます」
「十分いけそうじゃん」
ということで彼らの戦闘スタイルの検討は半日で終わった。
「うおっ! オジキ総司令大臣だ!」
「おまえら! オジキ総司令大臣が来てくださったぞ!」
「「「「「うおー! オジキ総司令大臣!」」」」」
いや、ちょっとおかしいぞ。




