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7-⑩ 業界人、自衛隊を再編することを決める



起きたら南青山の自宅そばだった。


「あ、ツバメおはよ!」

「師匠大臣! おはようございます!」


「おはよう。あれ、そのまま送ってくれたのか」


「はい! 私が朝の送迎担当になりました! 森ノ島からでも清山からでもお任せください!」


「ありがとうな。無理するな。たまには頼むよ。ヒカリ、今日は自宅になると思う」


「なら仕事終わりで私もこっちにしよっと」


「! その手がありますね」


「じゃあいってくる。ふたりともありがとうな」


外に出て辺りを見渡してから能力発動。

警備に気付かれることなく超高速で部屋に入るのだった。


―――――――


家に着いたらまず勉強。覚えることは多い。

その後、一度官邸に顔を出して落合総理総理と三上幹事長と打合せをする。


「―――という形でよろしいでしょうか」


「いいでしょう。新世界での自衛隊機能を考えればそれしかない。制服組の幕僚長たちは多少の混乱はするかもしれないが些末なことだ。三上幹事長も根回しを頼んだよ」


「承知いたしました。楽しみです」


「あとこちらからのお願いなのですが、警備と送迎は自前にしたいのですが大丈夫でしょうか」


「もちろんだ。そうか、拠点移動が面倒だったな。配慮が足りなかった」


「手続きをするから一度来庁させてくれるか」


「わかりました。交代制にするので何人か連れて来たいのですが大丈夫ですか? 立候補が多いのでシフト制にしようかと」


「もちろん構わないよ」


「ありがとうございます。あと冨川はブレーンに入れたいのでポジションの検討をお願いします」


「願ったりだよ。承知した」 


このあとは一ケ谷駐屯地で自衛隊将校たちとの顔合せとなる。


自衛隊組織は何かとややこしかった。

大規模災害などが起きるたびに見直し。

時間をかけてようやく発足。

有事のたびにそれを繰り返して組織はかなり複雑になってしまっている印象を受ける。

国を守るための組織づくりとは大変なことなのだろう。


内閣総理大臣が最高司令官。

防衛大臣、防衛副大臣。

そこに防衛大臣政策参与。

さらに政務官、事務次官などの事務方がわんさか。

ほかにもあれこれ組織がたくさんある。

そして統合幕僚長。

陸海空やその他の幕僚長がそれぞれ並ぶ。


組織図だとずーっと下に実際の現場がある。


これまで紆余曲折ありこの形になったそうだ。

簡単にいえば防衛大臣から現場までが果てしなく遠い。


さらについ最近、統合作戦司令部というものが誕生した。


有事の際に迅速に動けるように、統合作戦司令官が指揮官として隊を動かすこととなった。

これにより幕僚長は制服組として総理、大臣への進言役に集中できるそうだ。


さらに本当の有事になれば総理大臣が最高司令官として動くのだ。


世界の終わりがきて新世界が始まり、大混乱に陥ったときに、これでどうやって機能させようとするのかある意味見てみたい気もする。

その頃には自衛隊は崩壊しているだろうけど。


いろいろ教わったがとにかくややこしすぎた。


改革はシンプルだ。

防衛大臣である私と現場の距離を縮める。

この一点において新体制を再編することにした。


色々立場やそれぞれにも教示もあろうが、ここはガタガタいわずに従ってもらおう。


一ケ谷に到着した。


講堂に入るとそこには多くの自衛官がビシッと並んでいた。

おお、かっこいい。

今日のこの着任式は全国の自衛隊拠点で配信されている。

マスコミも多く呼び込んである。

あまり前例のないことだが、国防意識を高めるためにも了承を得た。


「このたび着任された金沢ツバメ防衛大臣である! ご挨拶いただくのでありがたく拝聴せよ!」


なんか堅い人が宣言した。

もう少し柔らかい前説が良かったけどそうはいかないよな。

よし、頑張って着任宣言しよう。

こういうときに全く緊張しない性格で本当に良かった。


躊躇なくスタスタと壇上へ。

軽く周りを見渡してマイクを手に持った。


「みなさん、はじめまして。この度、防衛大臣に任命された金沢ツバメです。

最初に申し上げておきますが、私はご存じのとおり民間官僚です。

ゆえに自衛隊の細部についての知識はみなさんの足元にも及びません。

ご迷惑をかけたり、多少は混乱をさせてしまうかもしれませんが、その点はどうかご容赦ください」


――少し、場内が緩んでしまった気がする。

まあ頼りないよな。仕方ない。


「ですが私は民間でも常に有事に備えた国防と防災というものを意識して仕事をしてきました。ツバメグループの企業理念はその一点です。そしてそれは自衛隊の理念と同じはずです」


――お、また少し、場が締まったか?


「簡単な理念です。


この国を守る備えをする。

この世界を守る備えをする。


世界は国であり、国は人だ。

私は人を守りたい。


この点において私は一切の妥協なく仕事をしてきた自負がある」


――よし、空気は完全に締まった


「実業家にはあるまじきことですが、たとえ利益相反してでもそこは揺るいだことがありません。疑うならどの経済評論家に聞いてくれても構わない。すべての評論家に『採算性が悪すぎて理解不能。何を目指しているのかわからない』こう言われるでしょう。何を目指す? そんなものは簡単だ。『人を守る』。これが全てだ」


――全員が最初と顔つきが違う。

こちらの目をみてちゃんと聞いてくれてる。

嬉しくなってきた。


「まずここに宣言します。明日必ず有事が起きると思って今日を動く。これを徹底してください。本当なら今日有事が起きると思って、が正解でしょうが備えも大事です。どうか宜しくお願いします」


――場内から僅かに拍手が起こり、それが波打つように広がっていった。


「ありがとうございます。では次に具体的な話となります。先ほど落合総理大臣に今後の組織についての提案して、すべての内容に快諾をいただきました。新しい組織と人事が決定したのでここで発表させてもらいます」


――一瞬で空気が変わり、場が緊張で満ちた。


「簡潔にいいますね。統合司令部の統合作戦司令官を私が兼任します。また、統合幕僚監部の統合幕僚長には三上幹事長が着任します」


――現場が凍りついた。

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