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3-6 業界人、乱射事件に巻き込まれる



ガンショップで店主のマイク、孫のアンジーと意気投合した私たちは夕食を一緒にとることになった。


『さあここだ! みんなしっかり食ってくれよ!』


ゴローのバンに乗り込んで向かった先は、マイクのオススメのステーキハウスだった。


広いテラス席がありそこを抜けるとメインフロアになるのだが、まだ18時にもならないのに店内はほぼ満席で賑わっていた。

みんな楽しそうに酒を飲み、大きなステーキにかじりついている。


幸いなことに6人で座れる大きなテーブル席がひとつだけ空いていて、私たちは奥まった席に案内された。

私たちはウェイトレスに渡されたメニューを開き、何を注文するか相談していた。

周りの客が食べているものがとんでもないビッグサイズなので食べ切れるか心配になる。

日本のファミレス感覚で品数を頼んだら大変なことになりそうだ。海外あるあるだな。



その時――。


私の脳内にアラームが鳴った。

なにやら不穏な空気を感じて入り口に目を向けた。


「ヤバい、みんな隠れろ! マイク! アンジーを!」


タタタタタタンッ!


直後、乾いた音が連続して鳴り響く。


マイクがアンジーを抱きかかえてテーブルの下に飛び込む。


私たちもすぐに床に伏せてテーブルの下に身を隠した。

入り口に目をやると数人の男が銃を乱射しながらテラスに押し入ってくるのが見えた。


『なんてこった。テロか?』


犯人は4人。

天井へ向けて銃を乱射しながら、入り口近くのテラスにいた客を店の奥のフロアへと追い立てている。


「これが銃社会の恐ろしいところだな。イカれたヤツも簡単に人を殺せる武器を手にできる」


「ツバメさんの巻き込まれ体質、どんどんパワーアップしてませんか」


「いや、タクスケの体質かもよ」


『ゴロー! さっき買ったガンはあるか?』


『車に置いてきちまったよ。まだ箱からも出してない!』


『オレのハンドガンだけか。ちょっと厳しいかもな。アンナ、アンジーを頼む』


『どうするつもりだ?』


『とりあえずお前たちはこのまま隠れてろ。隙を見てオレが反撃する。そしたらアンジーを連れて外に逃げてくれ』


『マシンガン持ったヤツら相手にマイク1人じゃ殺されにいくようなもんだろ』


うーん困ったな。


「おい、ナビィ!」


『はーい! ナビィ参上! こりゃまた大変なことになってるね』


「収納の有効範囲はどれくらいだ?」


『はっきり目に届く距離なら発動するよ』


「オッケー。ということはイケるな」


『生物は収納できないけどね』


「あー、それがテンプレだった気がするな。ならこうすればいいよな」


私はテーブルの下から顔を出し、入り口を見渡しながらナビィに静かに伝えた。


「見えている銃を全部収納!」


瞬間、テロリストたちの手にしていたマシンガンや腰に下げていたハンドガンが消失する。


突然のことにテロリストたちは何が起きたのが理解が追いつかず、口々に何かを叫んでいたが、すぐに駆けつけた警官たちに次々と取り押さえられていくのだった。


―――――――


『なにが起きたんだ。やつらいきなり丸腰になってたぞ』


『あー、なんて言えばいいのかな』


ゴローは伺うようにこちらを見ている。


『詳しい話はあとだな。とりあえず店を出よう』


マジックボックスから犯人たちから取り上げたマシンガンやハンドガンを取り出して床にまとめておく。


『おい、マジックか!? どうなってる!?』


『やつらが「慌てて取り落とした」んだろうな。まあ、あとで話すよ』


素知らぬ顔でほかの客たちと一緒に店を出る。

テラスで警官たちからの簡単な質問に答えると、あとは身分照会だけで解放された。


『強盗団らしいぜ。警察とカーチェイスしていて追い込まれて、ここに籠城しようとしたみたいだな』


『だからあんなすぐに警察がきたんだな』


私たちはゴローのバンの中でマイクから状況を聞いた。


『それよりもだ。いったい何が起きたのか説明してくれないか?』


『わかった。話は長くなる。一度マイクの店に戻ろう』


―――――――


デリバリーのピザをつまみながらマイクに事情を説明する。

アンジーは離れたところでアンナと一緒に楽しそうにテレビを観ながら食事をしている。

どうやらショックもないようで安心した。


『………なんてこった。でもこんなもん見たら信じるしかないだろ』


マイクの店の真ん中にあったデカい展示品たちをマジックボックスで出し入れし、改めてこの能力をマイクに見せたのだ。


『隠していてすまないマイク。そういうわけでオレたちは世界の終わりに備えるためにツバメさんたちと武器の調達にテキサスにやってきたんだ』


ことの始まりからすべてをタクスケが説明した。

マイクは静かに頷きながら話を最後まで聞き、どうやら理解したようだ。


『どうだろうマイク。私たちの仲間になってくれないか?』


しばらく考えたあとでマイクはニヤリと笑った。


『もちろんイエスだ。オレも日本に行こう』


『そうか! 嬉しいよ!』


『オレはもともと神を信じてるからな。神に選ばれたツバメの仲間になれるなんてこちらこそ大歓迎だ。光栄でしかないさ』


そういってマイクは右手を差し出し固い握手を交わす。

力強いその手に私は頼もしい仲間が増えたことを実感することができた。





マイク

60歳。ダラスのガンショップオーナー。

元軍人で武器に精通しているスペシャリスト。

妻は他界。息子夫婦も亡くしてしており孫のアンジーと暮らしている。


アンジェリーナ

5歳。人見知りの性格だが気を許した相手にはとことん甘えるかわいい女の子。

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