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3-5 業界人、ガンショップを訪れる



ゴローとアンナの新居を決めた私たちは近くのガンショップを訪れていた。


「うわ、すごいですよツバメさん!」 

『『ワオ!』』

「これはすごいな」


広い店内にはところ狭しと銃が並んでいた。

壁の四面には銃身の長いライフルやマシンガン、猟銃などがきれいに並んでいる。


会議室のテーブルのように囲まれた大きなガラスケースには短銃が整然と並べられており、中にはナイフや剣のようなものも飾られていた。


ガラスケースに囲まれ人が入れない中央には何を撃つのかわからないような超大型の武器が並び、まさか売り物ではないだろうがバズーカまで置いてある。


奥には厚い鉄の扉があり、どうやら倉庫になっているようだった。

建物の隣は射撃場で鉄のネットで囲われた広大なスペースになっていた。


正直、どこから見たらいいのかもわからない。

圧倒的な武器の山に囲まれ私たちは入り口でうろたえていた。


『いらっしゃい!よく来たな!」


声の方を向くと、そこにはヒゲ面のいかにもガンマニアっぽいオヤジが立っていた。


『オレはマイクだ。おまえらはチャイニーズか?射撃体験に来たんなら好きな銃で撃たせてやるぜ!」


『やあマイク!俺たちは全員ジャバニーズさ。オレはゴロー。今日この近くに妻のアンナと引っ越してきたから挨拶に来たんだ』


『そうか!よろしくなゴロー!そのふたりは?』


『ああ、彼らは日本からきたオレの大事な友人だ。ガンが大好きなんだが日本には銃がないからわざわざテキサスまで見に来たんだぜ』


『そいつは嬉しいな!ガン好きなら大歓迎さ!オレの店を選んでくれてありがとうよ!』


気を良くしたマイクは嬉しそうに握手を求めてきた。

強そうな見た目とは違ってとてもフレンドリーな人だった。


と、マイクの後ろから5歳くらいの女の子がひよわっこり顔を出した。


『この子はアンジーだ。俺のかわいい孫だ。ほらアンジー、みんなに挨拶しろ』


『あ、えと、ワタシはアンジェリーナです。みなさんこんにちは』


「「「「こんにちは」」」」


男たちはマイクの案内で店内を案内してもらっていた。

アンナはアンジーと絵を描いて遊んでいるようだ。


『どうだ!オレの店はなかなかだろ!』


『ああ、本当に。こんなにたくさんの種類があるんだな。ここに来るまでにもガンショプをいくつか見かけたけれど、どこもこんなに品揃が多いのかい?』


タクスケの英語はなかなか流暢なものだった。


『いやいや、いっちゃあなんだがそこらの店には負けてないぜ。さすがに大型店舗には数じゃ勝てないが代わりに質がいいものしか並べてないぜ。試し打ちしてみるかい?』


『ぜひ頼むよ。でもその前にさ。もしマイクに時間があるならここにある銃についてもっと詳しく教えてもらえないか?』


『もちろんだ!ガンの話なら朝まで付き合うさ』


『朝まではきついな!日本には持って帰れないがオレたちはゴローとアンナに最高のガンをプレゼントしたいと思ってるんだ』


『まかせとけよ!さあこっちにきな!説明するぜ』



マイクは嬉しそうに店を案内してくれた。

さあ、しっかり銃について勉強しよう。



『ガンに慣れてないふたりにはまずは使いやすさを重視したものがオススメだな』


そういってマイクに連れてこられたのはハンドガンの中でも比較的コンパクトな銃が並んでいるコーナだった。


『小柄なアンナには小さめのベレッタナノかグロック26あたりがオススメだな。ハンドバッグにも入るサイズで女性にはちょうどいいだろう。ゴローには、そうだなグロック19かベレッタ92シリーズあたりだろうな。日本の特殊部隊も採用してるはずだぜ』


『弾は共有できるのか?』


『ああ、どれも9ミリで同じだ』


彼らのやりとりを聞きながらこれはなかなか手ごわいのかもなと感じた。

銃社会のアメリカとは違い、まったく銃に慣れていない日本では咄嗟にどの銃にどの弾が使えるなんてすぐには反応できそうにない。

ましてやそのときは目の前にはモンスターがいるのだ。

まともな対応ができるはずがないだろう。

日本にもガンマニアはいるだろうが、知識がある素人が急に武装しても使い物にはならないだろう。


しはらく日本に移住しないゴローとアンナにはマイクの店に通ってもらって射撃トレーニングを受けてもらうとしても、彼らは本来整備担当だ。


世界が終わる前に、チームメンバーには何度か渡米してもらい集中トレーニングを受けてもらおうと考えたのだった。


同時に、そもそも周囲にこれだけ武器が揃っているならアメリカは意外と世界の終わりを乗り越えられるのもしれないなと思った。


結局、マイクからは夕方までたっぷりレクチャーを受けた。

ゴローとアンナの拳銃を買ったものの、とても割に合わないだろう。


『ガハハ、気にすんな!こっちも楽しかったぜ!

ガンの講習ならいつでもオッケーだ。毎日だって喜んでコーチしてやるよ!』


店の外に見送りにきてくれたマイクは嬉しそうに笑った。


『とはいってもなあ。そうだ!マイク、よかったら一緒にディナーはどうだ?私たちもこの街には来たばかりだ。いい店を教えてくれないか?』


拙い英語をタクスケにフォローしてもらいながらマイクを誘ってみた。


『そりゃありがたいな!いいぜ、行こう!アンジーもすっかりアンナに懐いたみたいでしょんぼりしてたし、喜ぶだろう。アンジー!拗ねてないで出てこい!みんなでごはんを食べに行くことになったぞ!』


店の中で悲しそうにこちらを覗いていたアンジーが扉から飛び出してきてアンナに抱きついて喜びを爆発させたのだった。

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