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3-3 業界人、ギャングを捕まえる



午前中はアンナの整備工場を見学した。

これからはまたゴローの店で車のチェックだ。

いよいよキャンピングカーのエリアをチェックすることした。



「ツバメさん、あれよくないですか!」


タクスケが指差すほうには大型のキャンピングカーが並んでおり、そこにはひときわ大きなバスがあった。


「ああ、いいな。他のキャンピングカーも日本では見かけないようなサイズだけど、これはまた一段とデカい!モーターホームってやつだな」 


サイズとしては大型の観光バスをさらにひと回り大きくしたくらいのビックサイズだ。


「でもどうしたって日本の道路では手に余りますよねえ。ボクもでかいクルマが好きだけどあれは運転できそうにないです」


「いまの世界ならね。道路に縛られずに動くとするなら、足回りを強化すれば使えると思うぞ」


「そっか。今の道交法なんてなんの意味もなくなるんでしたね」


モーターホームの中を見ていると、なにやら揉めてるような声が聞こえた。


「なんか騒いでるな」


「え、なにも聞こえませんけど」


「いや、あっちだ。行こう」


――――――


騒ぎが起きていたのはスポーツカーが集められたエリアだった。


そこにはゴローと、ほかにはいかにもギャングとわかるような見た目の男が5人。

手には銃があった。


『言いがかりはよしてください。またあなたたちですか』


『ハハハ、お前懲りねえなあ。いつもいつも俺たちの車盗みやがって』


『だからこの車はウチのものじゃありません』


『ああ? 何いってんだよ、てめえ、現にここに俺の車があるじゃねえか』


『さっきまでここにこんな車はなかった。誰かが置いていったものです』


『なんだ? 俺たちがやったとでもいいたいのか?』


ゴローはよろしくない男たちに絡まれているようだ。


会話はわかるか? ――そう声をかけようとタクスケのほうをみると、彼はすでに携帯で動画を回していた。


「証拠撮影、念のため」


「ナイス」


「ゴローが彼らの車を盗んで売っていると因縁をつけてるようです」


「なんだそれ」


『前にもやられてるようです。常連さんですね」


彼らの車というのは黒い大型のSUV。

あれはハマーH1か。

軍用車のハンヴィーをモデルに民間車両として開発したもので少し古い希少車だ。

少しサイズダウンした後継機は日本でもそれなりに流行ったのを覚えてる。

旧車なのにかなり程度がいい。

金をかけているのがひとめでわかる。


それにしても……置いてある場所もスポーツカーのゾーンで適当だし、フロントガラスの「セール」のボードも明らかにこの店のものとは違うものだ。

というより、ペラペラの画用紙みたいなものに手書きだし。


パン!

乾いた破裂音がした。

男が空に向かって発砲したのだった。


『いいから金をよこせ』 

『警察には言わないでやるよ』

『3回目だからな。今回は罰として10万ドルだ』

『おら、さっさと金出せよ』


男たちは好き勝手なことを言いながらゴローに暴行を加えている。


「ムカつくな。ちょっと行ってくるわ」


「気をつけてくださいね……力加減に」 


「このあとやつらの車は映らないようにしとい

て」


「ほい」


私はまっすぐ男たちのもとへ向かっていった。

それに気づいた男のひとりが私に絡んでくる。


『なんだてめえは。殺されてぇのか』


手元の銃をチラつかせて威嚇してくるが、そんなものは怖くもなんともない。

たぶんだけど撃たれても平気な気がする。


「ボス、来ちゃだめです。危ないです。こいつらはこの街のギャングです。逃げてください!」


血を流し震えながらもゴローは私をかばうように男たちの前に立ちふさがった。


ああやっぱりだ。ほらこういうとこだよ。

咄嗟の時に人間性が出る。

やっぱりゴローはいいヤツだ。


『てめえ、舐めてんじゃねえぞ』


男はゴローの胸ぐらをつかみ銃を突きつけた。


「あー、うざい。ナビィ!」


『はーい、ナビィだよー!』


「この黒いクルマ、消してくれ」


『おっけー♪ はいっと』


瞬間、やつらが持ち込んだ黒のハマーは目の前から消え去った。


(((((!?!!))))) 

ゴローも含めて全員がフリーズする。


『なんだ何が起きた!?』

『おい、車……。えええ! 車は?!』

『いま消えたよな? 消えたぞ!?』

『なにがどうなってんだ!』


男たちは突然のことに騒ぎ始めた。


「英語、わかりませーん」


とりあえず因縁のもとは消した。

あとはこいつらを警察に突き出して終わりだ。


「おーい! タクスケ! 警察呼んでもらえるか?」


「もう呼んでありまーす」


「さすが。タイミングわかってるな!」


警察が来るまでおとなしく待ってくれるように、ちょっとだけ動いた。

男たちは次々と腰がくだけたようにその場に倒れていく。

目をまるくしてその場で立ちすくんでいたゴローに私はヘタなウインクをした。


―――――


ほどなくして駆けつけた警官に状況を説明。

男たちは連行されていった。


証拠として提出した動画には、私の動きは残像としてすら映っておらず、問題はなかった。

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