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新世界1-7 杞憂では終わらない



花川くんと十王子へ向かう。

冨川をピックアップして3人で横須賀へ入った。


「あり得るな。というかもうそれしかないって気がしてきたぞ」


「オレもだよ。……花川くんは着いたらすぐにサーチモニターの可能性を探ってくれ。欲張りな性能は後回しだ。まずは今あるソンビから発する波長を探して探知できないか試してほしい。できるなら……」


「0時に間に合わせるでありますよ!」


「……頼んだぞ」


研究室に飛び込んでいく花川。

カウントゼロに備えて東京にあった研究機能はすベて横須賀に統合してある。

彼ならきっとなんとかしてくれるはずだ。


上層部への説得は私たちの仕事だ。

冨川と並んで作戦司令部へ入室した。


「待っていたぞ。どういうことだ」


「電話でお伝えしたとおりですよ総理。第二波は単なる繰り返しじゃ済まないかもしれません」


『なにを言ってるんだ!』


モニターから非難の声が届く。アンダーソン長官だ。

面倒なのが会議に参加していた。


「みなさんお待たせしました。まだ初戦も続いているエリアがあると思いますが、第二波についての話を聞いてください」 


『第二波があるともまだ決まってないだろう。CIAのシンクタンクのレポートは読んだのか!』


「ええ、拝見しましたよアンダーソン。確かに今夜は何も起きない可能性もあります。ですがあまりに楽観的すぎます。『最初はゾンビ』、なんですよ。どうあれ、次は必ずあります」


『なんだと! そもそもキサマは――』


『アンダーソン、少し黙れ。話が進まない。それに大統領より先に私見を言うとは何事だ。ツバメ、続けてくれ。新世界同盟の会議まで時間がない』


マイケルが一喝してくれた。


「ウィルソン総司令、ありがとうございます。研究者の花川の提言を代わりに説明します―――」


私は懸念点を簡潔に伝えた。


「世界は混ざり合うと予告されていますが、今の状況ではこの世界にほんの少し向こうの世界が接した程度にしか過ぎません。これではあまりにバランスが取れていない」


「今日一斉に出現したゾンビは湧きつづけることがなく一定数に対する掃討戦となりましたが、このまま終わるとはとても思えません。考えられる想定として、今夜また同じようにゾンビ、もしくは次のモンスターが出現するというものがあり、いま我々はそれに備えてスタンバイしています 

ですが最初に申し上げたとおり、世界は混じり合うのです。おそらく、第二波では『今の歪みがさらに広がる』か、『新たな歪みが増える』可能性が高い。あるいはその両方もあり得ると考えています」


全員が言葉を失った。


「もちろん、第二波が今夜とは限りません。もう少し先の可能性はありますが間違いなくこれで終わりではない。ソンビがこれで終わりだとしたら次のモンスターが出ます。ですが問題はモンスターの種類ではありません。その規模なんです」


全員が言葉を失う中で,ようやくハリソン大統領が声を上げた。


『もし円が広がるなら部隊が挟撃される可能性がある。下がって広がれば抜かれる隙間が増える。至急作戦の見直しに入れ!』  


向こうで何人かが足早に会議室を退出した。 

こちらも同じく、作戦立案に携わる者が足早に退出していく。

落合総理が質問する。


『増えるケースにはどのような対応ができそうだ』


「歪みのソナーはすでに世界に共有済みです。これまでのバターンからエリアを予測するしかありません。そして歪みを探知したら1秒でも速くそこに軍を送ること。最終日と同じです」


『軍の拠点に「歪み」が開く可能性もあるな』


「願わくば、の希望的観測になりますが、これまでのように新しい歪みは前触れであってほしいです。ですが一度世界がつながった以上は即時開通となってもおかしくありません」


会議室はモニターごと静まり返った。


「唯一希望があリます。このことを予見した研究員がいまゾンビの位置を特定できるモニターの開発に取り組んでいます。私の能力にも同じものがありますがもしこのマップ機能を軍隊に装備することができればあるいは、勝機が見えてきます。歪みセンサーを開発した者です。きっとやってくれるはずです」


少し、ほんの少しだが皆の目に希望の光を感じた。



と、そこにひとりの白衣を着た男が入室してくる。



口調だけが残念なイケメン、希望の灯と紹介したばかりの花川だった。

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