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冬のくろい影〜ゲントウくんはこれからどうしたらいいか悩んでいます〜  作者: おちゃつばめ
ゲントウとルーナと仲良くするには?編
4/23

第3話「フェノールとの出会い」

―――


(ルーナとアカハの会話)


ルーナは今日の放課後の経緯をアカハに話した。


「なるほど〜。そーゆーことだったのね。まったくルーナは他人に首突っ込みすぎよ。」


「なんか、熱くなると体がね、反応しちゃうよ。」


「心配だわ私は。ルーナの綺麗なお顔に傷でもついたら許さないからね。」


「まあ、以後気をつけます。」


「それより、ゲントウくんってかっこいいんだね。ちょっと近寄りがたいオーラがあるけど、雰囲気あっていいわ」


「そうなのかな?あまり聞かない話だけど。アカハはあーゆー男子が好きなの?」


「いやいや、私はもっとたくましい人が好きだわ。ゲントウくんも悪くないけどね、フェノールくんも。顔は良いけどフェノールくんもゲントウくんもちょっと頼りないわね。筋肉が足りないわ」


この筋肉フェチめ


「士官クラスなら頭の悪そうなそんな男はいっぱいいるわよ」


「そうよね。やっぱり男が女の子を守ってくれないとね。どうも、普通クラスの人はマザコンのなよなよしたやつが多いわ」


「ただ、ゲントウくんは強い人だと思うわ」


「そんな気持ちだけではね〜この世の中なんともならないわ」


「そうじゃなくて武術の心得があると思うわ。多分。結構強いと思う。」


「へえ、そうなの?意外だわ」


「勘違いかもだけど、そうだと思う」


「ルーナがそう言うならそうなのかもね」


「そうだね。よくわかんない人だけど、悪い人ではないと思う。話せばちゃんと話を聞いてくれたし。」


「うん。悪い人ではないようには感じたわ。ただ、今日のゲントウくんとその女の子たちのいざこざの話本当だと思うの?」


「え?どういう意味?」


「前回も咄嗟に嘘をついたんでしょ。誤魔化すために。今回も、とは思わないの?」


「まさか、アベリアちゃんたちとそんな仲良い関係に見えなかったわ。庇う必要がないわ」


「そんな仲良い関係じゃない人からお金を借りたりするのかしら?」


彼のことがまた、分からなくなってきた。


「アカハどういうことなの?」


「さあ、でも私はしっくり来てないわ。なにか隠してるとは思う。勘違いかもだけど」


「今度あったら問い詰めるわ」


「ルーナ。本人が隠してることを無理矢理聞き出してもいいことないわ」


「うん。分かったわ。」




――――――――――――




ゲントウは今日のカツアゲ事件を振り返っていた。


俺は友だちが少ないのに、絡まれることが多すぎる。不公平だ!


彼は何よりもフェアを愛しており、最近、自分に降りかかる不幸の塩梅に不満を持っていた。


フェノールと会った時もあんな感じだったな。


あん時はフェノールが仲裁してくれたっけ




――――――――――――





(ゲントウの回想〜フェノールとの出会い〜)




3年生に進級して、ちょうど1ヶ月経った頃


全ての授業が終わり、担任の先生からクラスのゴミを捨てるようにお願いされた。


学校の端のレンガの壁と校舎で囲まれたゴミ捨て場にゴミを捨てようとした。


ゴミ捨て場に投げるようにゴミをポイッと捨てようとするゲントウ


遠くの方で目が合った。


ゴミ捨て場から少し離れた校舎の壁に、隠れるように大きな男子生徒が4人いた。


恐らく士官クラスの生徒だろう


ゲントウの視線に気付いた1人がササッと手元を見えないように隠した。


それに気付き、残りの3人は手をズボンのポケットに入れた。


ははーん。


最初に隠したやつは恐らく煙草だろう


後から隠したのは、遠くでもわかった。


「オンブラ」


この国で1番馴染みのあるドラックだ。


オンブラは黒色の粉末状で、注射だったり加熱によるガスの吸入で使用され依存性の強い危険薬物なんだとか


この国では近年、流通量が増え危険視されている。


関わるとろくなことがないので、目を両手で塞ぎ見てませんよ〜のポーズをとって立ち去ろうとしたら


「ちょっと待てよ兄ちゃん」


無視する。


「ちょっとまてごらぁ!」


「もしかして、私ですか?はい、なんでしょう?」


「まず手を下ろせ」


「はい」


手をどかすと4人の男が囲んでいた。


4人とも短髪でたくましい体をしていた。


「ちょっと向こうで話をしようか?」


「ごめんなさい。叔父さんと叔母さんの容態が急に悪くなったみたいで早く帰らないと行けなくて…」


「ふざけてんのか?」


「いえ。間違えました。でも、私は何も見てないし、誰も話さないですから…帰ってもいいですか?」


「そうか。ただ俺らは嘘つきが嫌いだからね。本当に嘘をつけないような人になったら帰すよ」


と言ったと同時に腹を殴ってきた。


避けれはしたが逆上させても悪いと受けた。


そこから横腹を蹴られた。


ゲントウの呼吸が苦しくなる。


視界がぼんやりとしてきた。


1人の男がゲントウにかけてあったネックレスを触ってきた。


ネックレスは銀色のチェーンに、指輪がかかっており、指輪は赤く大きくはない。


指輪のリングは焼けたあとのように黒ずんでいた。


決して高価な印象はないネックレスだが、金が欲しいのか男は奪おうとした。


ゲントウは持ち物を取られることもお金も取られることもこの際はしょうがないと思ってた。


ただ、このネックレスだけはどうもそうはいかない


このネックレスはゲントウが小さい頃、母から貰い残っている唯一のもので、ゲントウにとって命と同じくらい大切なものである。


男が指をかけたと同時にゲントウは男の顔面に目掛けて鋭くパンチした。


バチンと音がして男がが2mほど飛んだ。


「てぇめぇぇ!」


やってしまった。つい反応してしまった。


ただ、このネックレスを取られるわけにも行かないし、どうにか逃げれる方法を考えないと


すると、校舎の角を曲がって1人の男の子が現れた。


「君たち何をしてんだ!」


いきなり現れた金髪の男の子は声をかけた。


あれ?クラスの人気者だ


こんなとこで何してんだ…


「あいつ、フェノールじゃないか?」


「どうする?」


ボソボソと作戦会議を始め動きを止める4人


彼は他のクラスはにも有名らしい


沈着化するか?そう願った。


しかし、そうはならなかった。


4人の男たちの判断は早かった。


「こいつがタバコを吸ってて注意したら、いきなり殴ってきたんだ!」


こいつとはゲントウの事だ。


4人は、ゲントウをはめようとした。


「いや、俺はゴミを捨てるようにお願いされただけだよ。担任の先生に確認を取ればいい。すぐ分かる」


「何言ってんだよお前。ごみ捨てるついでにタバコしたかっただけだろ?ここは人気が少ないし」


それはお前らの経緯だろう。

どうやら完全に全ての責任をつけるらしい


「俺は喫煙者ではない」


「それに見ろよこいつ顔殴られてんぞ。いきなり殴ってきたやつの話なんか信じれるかよ」


今回のこいつは短髪の方。こいつでしか人を呼べないらしい。


「それは悪かった」


どうしよう


こいつらポケットのドラックが動かぬ証拠なの分かってるのかな。


言い逃れできないのに


勝てるがこの人たちの人生が終わるかもしれないと思うと気が引ける。


まあ、やれるとこまで反論やって見るか。


停学は覚悟だな


退学したらどうしよう?


図書館に行けなくなるよな


まあ、手はまだあるが


「フェノールくんよぉ、普通に考えて4人とも嘘ついてるなんてことはないよな。この暴力野郎の言ってることなんか信じるなよ」


お前は俺の腹殴ったじゃないか


暴力反対!


「君が殴ったのは本当かい?ゲントウくん」


名前知ってたんだ。嬉しい。


「まあそれは、でも悪気があったわけじゃなくて」


考えろ


考えろ


問題にならないようにする切り抜け方を


誰も責任を取らなくて済む方向に誘導しないと


こいつが殴っことを言う?


いやダメだ。


こいつも責任を負われる。


いや、これくらいは我慢してもらうか?


ただ、いまはまずい。


シャドウもってるのは言い逃れは出来ない


そう考えているとフェノールくんが4人の方に歩み寄った。


5対1か。


分が悪いな。


さすがにわしの無実は通らんか


それにフェノールくんと俺では信頼度が天と地の差がある。


「そうかわかった君たち。ゲントウくんに問題は少なからずあったようだ」


「そうなんだよ。君が話の通じるやつでよかった」


困った


退学だよな


ライナに会えないのは寂しいなぁ


と考えているゲントウが立ち上がったと同時に



フェノールが1人の男に目掛けて膝蹴りをした。




時が止まった。



誰もこの状況を理解出来ずに動けずにいた。



フェノールが笑みを浮かべ気持ちのいいくらいの大声で言った。


「ハッハッハ!俺は俺が好きな方の味方につくんだ!悪かったな!」


「な、な、なにしてんだよ!話聞いてたのかよ!このゲントウってやつが悪いんだぞ!」


「はっ!そんなのどっちでもいいわ!好きなやつの味方について何が悪い!」


ゲントウ思った。



こいつ思ったより口悪いんだな。


いつもの全ての女性をウットリさせる優しい喋り方はどこに行った!?


「くそ!お前ら調子乗んなや!」


ゲントウにも殴りかかってきた


結局、戦わないといけないのかよ


暴力反対!




――――――――――――



「お前強いんだな」


金髪のイケメンが呟く


「お前、弱いんだな」


黒髪のメガネが答える。


「あいつら士官クラスだぞ、勝てるわけねえよ」


勝負をしかけていったくせに戦力に数えれなかったフェノールは1人を相手に苦戦して


結局ゲントウが全部倒した。


気絶をしている4人


「フェノールくんって結構、荒っぽい喋り方すんだな」


「フェノールでいいぞ。そうだな。この喋り方では女の子は寄ってこないからな。」


「なるほど。ただの女好きなのか。周り人間を騙して、もっと大人物かと思ったら思ったよりせこくて小さい男だな」


「ばーか。自分とは()()()()()なんだよ。等身大ってやつだな。それ以上は要らない。お前だっていつもこんな人を馬鹿にしたような喋り方しないだろ」


「そうだな。それもいいな」


「それに、普段のが嘘って訳でもねえ。どれも俺さ。俺の場合はただ、興奮すると子どもに戻るのさ」


「よく分からん」




ゆっくり息を整える





「ゲントウ。お前かっこよかったぞ。俺よりかっこいい男は2人目だ」


「もう1人いるのか?」


「あぁ、昔1度だけ会った人だがかっこいい人だった。他人に素直に生きてるのが分かった。俺の憧れだ。」


「へぇ」


「今回の件はあとは俺に任せろ。俺は人望があるからな。俺の言うことはみんな信じてくれる」


「そうか。任せる。できればあの4人のことはあまり悪いようにはしないで欲しい」


「お前が仕掛けたかもしれんが、あいつらにも責任はあるだろう。全部あいつらにも責任擦り付けようぜ」


「実は仕掛けたのは士官クラスの人たちだよ。タバコもだし。ただ、もうタバコは預かったから滅多なことはしないと思う。ことは大きくしたくない」


オンブラも預かったし大丈夫だろう


向こうはこの弱みでこっちに刃向かえないはずだ。


「そうだったのか。うーん。そうだな〜。うーん。分かった。まったくゲントウお前は損するタイプの人間だな。」


「俺は別にどうなっても大丈夫なんだ。それより最後に質問いいか?」


「なんだ?」


「なんで、俺の味方したんだ?俺の方が問題があると思ってたんだろ?どっちにしてもあいつらに味方しないとお前は殴られる可能性の方が高いだろ。」


「ああ、そうだな。ゲントウが俺を知ってるかどうかは知らないが俺はお前を見たことがあったんだ。見てすぐにいい人だなってわかったから。」


見間違えだ。いい人ではない


「何をしてたんだ俺は?」


「寮の調理場の入り口で子どもと遊んでるとこを見た。子どもから信頼され好かれてるのがわかった。調理場の入り口で猫とじゃれてるのを見た。いい人だと分かった。」


たしかに、リーサ学園が設けている施設のちびっこと仲良く遊んでいる


「薄くないか?それだけだと」


「子どもと動物に愛される人に悪い人は居ない。」


「思考回路イカレてんな。それは子どもと動物が素直だから純粋で見る目があるからそう思うのか?自分を偽ってもばれないだけだろ!」


「いやそうじゃない。子どもと動物に愛される人に悪い人はいないってお母さんが言ったから間違いないだけだ」




………なんだよこいつ、マザコンなだけかよ。


きもちわるぅ




まあ、嫌いではない



「今から、うちこいよ」


「いいのか?」


「治療が必要だろ?それに俺のお母さん見るか?可愛いぞ」


「いや、大丈夫だ」


「治療しなくてもいいのか?」


そっちじゃない


その後、フェノールの家に行き治療してもらった。




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