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冬のくろい影〜ゲントウくんはこれからどうしたらいいか悩んでいます〜  作者: おちゃつばめ
ゲントウとルーナと仲良くするには?編
3/23

第2話「誤解を解いてまた誤解」






授業が終わり1人でいたフェノールにまた後でと声をかけた。


いつもの取り巻きがフェノールに群がるより先に教室を出た。


「フェノールくん。今日もご飯行く〜?」


「ごめん。今日は実家の方に帰るから行けないや」


「え〜これは貸しだからね」


とB子が言う。


フェノールが苦笑いをする。


リーサの女の子はご飯大好きだな〜とゲントウは感心していた。


いや、フェノールか。





ゲントウはライナを探すべく、まず図書館に向かう。


図書館に向かっていると後ろからつけられてるような気配がする。


2人、、いや3人だな。


角を曲がる時に、ちらっと人を確認。


女の子だ。



ゲントウくんにもモテ期がきたべ。


ふーむ。しかし、このままライナに会う訳にも行かないな。


ゲントウは女子不可侵の聖地、男子トイレに逃げる。


男子トイレに隠れて数分出口に、誰もいないことを確認して出る。


そのまま、図書館への人通りの少ないルートを探し、最短で向かう。




階段 踊り場 女 女 女―――


階段を降りていると、いた。


さっきの3人が。階段の踊り場で話をしていた。


覚悟を決めゲントウは壁に向かい合いながら壁に沿ってあるく。


「ちょっといい?」


真ん中にいる女の子の1人が声を掛けてきた。


きっと俺じゃない。


「ゲントウくん。ちょっといい?」


ほう。同じ名前の人が近くにいるとは。珍しいこともあるもんだ。


「おい、シカトすんなよ!」


右にいた女の子が右足で俺のすねを目掛けて蹴ってきた。


大して早くもない蹴りだったので体を後ろに間合いから遠ざかり避ける。


避けた衝撃でゲントウのメガネが落ちる。


まったく第一印象最悪だぞ。君は。

人間、最初が肝心なのに…


「ごめん。俺のことじゃないと思って。」


パッと顔を上げて3人の顔を見て、俺はあることに気付いた。


真ん中の子、A子ちゃんだ。


「A子ちゃんがなんの用ですか?」


「なに?馬鹿にしてんの?」


はっっ!しまった!心の呼び名で喋ってしまった。


「いや、間違えました。気にしないでください」


なんで馬鹿にしてると思ったんだろ?


「許して欲しいなら、なにかすることがあるでしょ。」


そんなに大したことはしてないだろう!


「申し訳ないです。悪気はなかったのですが、魔が差して…」


「そうじゃなくて、私にお詫びをあげないとだめでしょ。頭も悪いのね」


なんかよく分からん展開やな。もともとこの展開が目的なんだろうな。


「頭の悪い私めに教えてください。なにをあげれば許してくれるのでしょうか?」


「お金よ。お金。ちょっと貸すだけでもいいのよ。」


なんだお金か、、


「はいどうぞ」


財布に入ってるお金を全て渡す。


女の子は一瞬ぽかんとして、すぐに偉そうに受け取ろうとした。


「最初からそうすればいいのよ」


なら最初から言ってくれればよかったのに




「ちょっと!あなた達なにしてんのよ!!」


階段の上の方から女の子の大きな声がした。


その女の子は状況を見渡して、言葉を続けた。



「あなた達、そんな、人から奪ったお金を使ってもフェノールくんは喜ばないわよ。ゲントウくんだってあげる必要ないのよ」


おぉ、彼女はいつぞやのクラスの茶髪娘では無いか!


相変わらず君は決め打ちで話に入ってくるんだな


まあ、今回についてはほとんど彼女の予想した通りだろう。


いくらお金持ちの多い学校だとしても毎日はご飯はお金がかかりすぎる。



「違うんだよえーと、君は、、」


「私はルーナです。」


「えーと、ではルーナさん、これはですね実はこの人たちに借りたお金を返しただけで、なんの悪いことでもないんです。」


「え、そうなの?」


「はい。むしろこの人たちに私は感謝しないといけないくらいなのです。」


「本当に?」


「本当です。」


「アベリアちゃん本当なの?」


「えー、、まあ、そうです。」


A子ちゃんが答える。


もっと、ハッキリ喋らんかい!

カツアゲはできるくらいの勇気はどこに行った!


「それは本当にごめんなさい。疑ったりして」


「まあ、俺たちも紛らわしいことしてたからしょうがないよ」


なんかここの場を支配した気になり心が大きくなる。1文無しだが…




その後、予定通り図書館に向かっているとルーナさんがついてきた。


ついてこないでほしいのだが、


「そういえば、ゲントウくん」


「なんでしょうか!?」


失礼なことを考えていたのでビクッとして背筋を伸ばす。


「昨日のことなんだけど、謝りたいの」


「あぁ、哲学の授業のことでしょ?気にしてないよ。授業とは関係ないことしてたんだし俺が悪いよ」


「でもあなた、課題終わってたじゃない?さっきもそうだけど私は決めつけて喋ってしまうの。ごめんなさい」


課題終わってたの知ってたのか。これは悪い事をした。


「いや、でも授業と関係ないことをした俺が悪いから、ルーナさんが気にすることないよ」


決め打ちで喋るのは今後やめて欲しくはあるが


「意外とあなた優しいのね。」


なんでそう思うんだ?


「じゃあ聞きたいんだけどなんで、課題やってたって訂正しなかったの?さっきみたいにすぐ訂正すればよかったじゃない」


「あー、それは驚いてとっさに謝っただけで」


「でも、さっきは訂正できたじゃない」


ほう


まあ、そうだよね



「君が恥をかくと思ってね。」





「課題が終わってるのは俺しか知らないし、課題終わったって言うと決め打ちした君が恥をかくかと思って、訂正しなければ何も無かったことだし」


「なるほど。腑に落ちたわ。やっぱり決めつけて喋る私が悪かったわね。」


「いやそんなこ…」


「でもね!」


ゲントウの言葉を遮るようにルーナが続ける。


「それは訂正していいと思うわ。間違った人が恥をかくのはあってもいいと私は思うわ。それに今回のことも私は恥ずかしいとは思わないわ。あなたも相手のためになると決めつけて行動するのはよくない!あなたのその行動はそんなに大したこと意味は持たないわ。やり方を変えてもいいんじゃない」


なるほど、いい言葉だ。


そしてルーナさんはいい人だ。


ただ、



「ありがとうルーナさん。でもね、ルーナさんが決めつけて喋ってしまう時があるように、僕も勝手にこうなってしまうんだ。」


その言葉をしっかりルーナさんは受け止めたような顔をして、笑った。


「そうね。お互い大変ね。ただ、私はいつもこんな感じじゃないから」


ルーナさんの短所なんかはすぐ何とかなりそうだと思うが、、



向こうも同じこと思ってんのかな、、



話しているうちに舞台となった図書館に着いた。


2人で探したがライナはいなかった。


君が着いてきたからだ!と、ゲントウは八つ当たりをした。



そのまま校門まで二人で行くと


1人の女の子が近づいてきた


「ルーナどこ行ってたのよ?待ちくたびれたよ」


「ごめんアカハ。人を探すのに協力してて」


うそつけ


「あっこんにちは。アカハと言います。」


「あっどうもご迷惑おかけしました。」


「ちょっと〜ルーナ。いい人じゃない」


「彼がゲントウくんよ」


「どうもゲントウです。」


アカハさんとやらが驚いている。


ん?戸惑っている?


なんか俺は悪い噂でも流れてんのか


「えっ、あっそうなの?こんな綺麗な黒髪で大人な人なの?確かに地味な、いや落ち着いた雰囲気もあるけど全然イメージと違うじゃない。髪を切ればもっと爽やかさがましていいと思うわ。ルーナは私にどんな説明してんのよ!」


どんな説明してたんだ?


「ルーナまあいいわ。帰りましょう。ゲントウくんさよなら。ルーナをよろしく」


なにを?


「ああ、さよならアカハさん」


「ゲントウくんさようなら、アカハのことは気にしないで」


「ああ、またな」


勢いある何かが去っていった



今日はなんか疲れる1日だったなと思う。





校門をすぐでたところに天使がいた。


「ゲントウくんこんにちは」


「ライナこんにちは」


疲れが大気圏までとんだ


「実はゲントウくん探してたんだ。」


「そうなのか?暑いなか申し訳ない。実は僕もライナ探してたんだ」


「え、そうなの?うれしい」


「そうそう。ライナこのあと時間あるか?」


「うん。あるよ。」


「フェノールの家に一緒に行かないか?」


「フェノールくんってあの?」


「他にフェノールくんがいるのか?」


「いや分かんないけど、フェノールくんの家か、どうしようかな、、」


歯切れが悪い。


「フェノールは優しいやつだぞ、そんなに心配することは無い」


「いやフェノールくんが優しいのは学校のみんなが知ってるよ。そうじゃなくて、、」


「グラタンを作りに行くんだ。せっかくならライナも誘おうと思って。フェノールの家族と俺とライナだけだよ」


「そうなんだ。うーん。せっかくだし行こうかな」


「分かった。嫌だったら帰ってもいいから送るし」


「いや大丈夫だと思うよ。楽しみだよ。」


「そうか。じゃあ行きましょう。ライナお嬢様」


「はい。ゲントウくん」




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