プロローグ
先程まで吹いていた木々をしならせるような強い風は止み、
夜の森を静けさが包んでいる。
1人の少年が木々を避けながら歩く。
夜の闇の中でも認識できるほどの美しい金色の髪が月明かりでさらに輝いている。
少年の足は酷く負傷しているため左足を引きずるように歩き、時折少年は倒れる。
するとすぐさま何事も無かったかのように、むくりと立ち上がり血が付着した服をはたき、また歩き出す。
少年がまた倒れる。
倒れたことへの反応がないまま、また立ち上がる。
少年が歩き始めてから数時間がたち月が雲に隠れ、森がより深い闇に包まれる。
金色の髪は闇を通り、光を通さぬ黒色に変わった。
死と並んで歩いている少年は自分に問う。
僕は、なにをした?
これから、、どうすればいい?
何を、、したら、、、、、、報われる?
もうどうでもいい、、、
何も考えたくない、、、
痛くもない。
辛くもない。
誰とも関わりたくない。
もういいか、、
もういいか、、
もういいや、、
少年の心は、体の状態とは反対に穏やかで静かだった。
森の中にポツンとひとつ明かりが見えている。
明かりが灯った家の玄関の前まで歩き少年はバタンと大きな音をたてそこで倒れた。
物音に気付き、中から人が出てきて声をかける。
反応はない。
かすかな月の光が少年を照らす。
少年の影は青く光っていた。