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ジジ・ラモローゾ  作者: 大橋むつお
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011:『DAN!』


ジジ・ラモローゾ:011


『DAN!』  





 DAN!



 何かが倒れた音じゃない、ピストル撃ったときの音でもないしDNAの書き間違いでもない。


 DARENIMO AITAKU NAI!  の頭文字。


 誰にも会いたくない……分かるよね。


 意味じゃないよ、気持ちだよ、気持ち。




 月にいっぺんくらいやってくる。




 DANになると、ひどいときは部屋から出られないどころか布団からさえ出られない。


 根性なしだから、トイレに行きたくなって、けっきょく起きだすんだけどね。


 DANになると、生活音てのか、窓を通しても聞こえてくるアレコレの声や音がたまらない。


 車の音、人が歩いたり走ったり、挨拶したり、咳とかクシャミとか、犬がシャカシャカとアスファルトに音をさせて歩いてるのもやだ。ご近所の台どこで鍋なんか落とす音がしたら――死ね!――と呪ってしまう。


 お祖母ちゃんちに来て正解。


 ここは田舎だから、東京に比べ、そうゆう生活音が圧倒的に少ない。


 むろん、お祖母ちゃんの生活音はある。お祖母ちゃん、腰が悪いから足音とかに癖があるしね。


 お祖母ちゃんの歩き音がすると、さすがに申し訳ない気持ちになる。


 なるけど、やっぱ起きない。




 AMAZONで尿瓶を品定めしたこともある。




 尿瓶があれば、ほんとにお布団出なくて済むもん。


 でもね、失敗した時のこと想像しちゃうんだ。


 パンツ脱いで、尿瓶をあてがってさ……ちょっとでも隙間が空いてたらこぼれちゃう。


 首尾よく済ませても、拭かなきゃだめでしょ。尿瓶の蓋もしなきゃならないし……きっと失敗するよ。


 自分のオシッコでビチャビチャになったベッド……想像しただけで死にたくなる。


 引き籠るんだったら男だよね、わかるでしょ。




 腐ったバカになりそうなんで、お祖母ちゃんが出かけてる隙に何とか起きる。




 トースト焼いて、目玉焼き……つくる気力も無くて、オレンジマーマレードだけ塗って食べる。


 コーヒー牛乳温めようかと思ったけど、そのまま飲む。


 飲んだところでお祖母ちゃんが帰って来る。


「よかったら、お祖母ちゃんの部屋の本とかDVDとか観てもいいのよ」


「ありがとう」


 せっかくだからという気持ち半分、お祖母ちゃんの気持ちは受け止めなきゃという気持ち半分で、お祖母ちゃんの部屋へ。


 お祖母ちゃんの部屋のこと、書きたいんだけど、気持ちが続かない。


 また、今度ね。




 


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