氷の危機はいつ分かったのか
久方振りです、そして今回は特に短いです。
別で新規小説執筆を書いているのも影響していますが、やはり今はペルソナ5という名作・神作をがっつりプレイしているのが大きいかもです。言い訳にはなっていますが。
現代社会においてはその日の天候だけではなく、それから数日後の天候まである程度予知する事が可能である。それには雲の情報や風向きなどを吟味して天候が分かるのだが、そんなのはファンタジー世界観溢れる水の国シュトルーデルカには分からない問題である。
明日の天気どころか、貧民層の人間にとっては明日食べる飯があるかどうかも分からない、飢餓と猛暑の砂漠の国。
そんな砂漠の国の民は良く雲を見る。
雨を待ち望んでいる心が黒雲を求めるのか、それか目の前の砂だらけの現実から目を逸らしたいのか、理由は人さまざまだ。
――――けれども、どんな理由があろうとも彼らが見る空の光景は一緒だった。
「な、なんだ……あれは……」
誰が言ったかは分からない、けれども"誰かはそう言った"。
目の前に映るは、大きな黒い雲。
しかしその黒い大きな雲の下には、何重にも渦巻いている竜巻。そして竜巻からは遠く離れているこの場所からでも分かるほど、強力な冷気。
障害物もない上に、昼のうなるような暑さのせいで、ありえないほどの寒さを夜に感じる彼らですら、その吹雪をまとった竜巻の寒さは異常だった。
異常なほど、寒かった。
砂漠の国に今、新たな災害が来ようとしている。
それは猛烈な寒さを持って、砂漠の国の人々に危機を与えようとしていた。
☆
"それは一瞬の出来事だった"。
まるで良くある三流物語の書き出しのように、それは起こった。
砂漠と言う熱い気候をものともしない、いや逆に食ってやろうかと言わんばかりに極寒の雪嵐は街を襲って、砂漠の街から極寒の寒村へと一瞬で変えていた。
「あの《氷姫》……ちょっとばかり街を変えすぎじゃないか?」
ぶるるるる、と人形の身体で感じる事が出来なかった極寒の寒さを少しだけ感じつつ、俺は剣を腰に戻していた。
既に闘技場の人達も、街の人達も、《氷姫》が訪れてしまったシュトルーデルカの王都の人々は全て氷漬けとなった。そして人々だけではなく、獣などの動物達もまた全て例外なく凍ってしまっていた。
全てが凍りつき、停止した街。それが今、目の前にある光景。
「うぅ……ほ、ほんとうに、寒いです」
同じようにあまり寒さなどの温度に鈍感であるアケディアもまた、ぶるぶると震えていた。
普段寒さに鍛える訓練をしていた、前の生き方をしていた俺ですら、みっともなく震えている。それに対してそんな訓練を一切していない素人のアケディアはこっちが不安になるくらい、身体を大きく震わせていた。
「だらしがない……とは言えないくらいの極寒ですね。
これでは今後に支障が出ますので……温かき家族」
女死神が魔法を唱えると共に、彼女の身体から暖かいオーラのようなものが現れていた。そのオーラは俺とアケディアの2人を包み込んでおり、俺とアケディアの身体が赤く発光する。
そして先程まで寒かったのが、ようやくまともに行動出来るくらいになっていた。
「うん……これで寒さがマシ、にはなったか……」
あくまでもマシ。けれども、ここはなんとかせねばなるまい。
この砂漠の国から一瞬にして氷の国になってしまったこの国を、なんとかするには《氷姫》のところに行かなければ……な。
……流石にこのまま、って事はいけないか。




