サビ付き英雄譚について
今回は「サビ付き英雄譚」の本編ではありません。楽しみにされていた方は申し訳ございませんが、時間がありましたら少し目を通して読んでいただけるとありがたいです。
「サビ付き英雄譚」、それがこの小説のタイトルです。
この小説はジェラルド・カレッジという騎士の男性が主人公であり、錆びた鉄の人形の魔物を騎士団として対処しにいった事から物語が始まります。主人公はそこで謎の男――――作中にて《蒼炎》と呼ばれている人物に身体を奪われてしまい、魂だけとなってしまった彼は女死神から新たな身体を得て、《蒼炎》を倒すという物語です。一応は「英雄譚」と名付けていますが、人によっては「自分の身体を奪った者に報復する復讐譚」という話に見えるかもしれません。その2つはどちらも正しく、私のこの小説を意味していると思います。
まず、この小説の最初の目的として「どうやって《蒼炎》を倒すか」を考えました。そしてそのためには、主人公1人では無理である事に行きつきました。そりゃあ1人で《蒼炎》を倒す方法も話も考えようによってはありますが、それよりも仲間を加えて戦う方法の方が良いと考えました。
何故かと言うと、今回の物語は主人公の騎士を英雄として成り上がらせる、いや冒険するのが目的であるために最初から最強の能力を持って無双している人にそんな事が伝えられるでしょうか? 最強の能力を持った人間が無双する様は見ていて確かに面白いですけれども、その分苦戦がかけません。「最強」とは「無敵」、つまりは苦戦しない敵が居ない状態です。
英雄……ヒーローものと聞くと、あなたはどんな作品を思い浮かべるでしょうか?
「スパイダーマン」や「バットマン」のようなアメリカのヒーローも、「ウルトラマン」のような巨大なヒーローも、「スーパー戦隊」や「仮面ライダー」のような日本の歴代ヒーローでしょうか?
けれども、どんなヒーローだって敗北や苦難がある。そんなピンチを乗り越えて戦うからこそ、見ている人達に「ハラハラするような興奮」を与えられます。
初めから最強の人間など、そんな人間が勝ち続けたって面白くはありません。少なくとも私は思いませんでした。
全ての人間は完璧ではありません。どんな人間にも長所があり、欠点がある。
だからこそ、人間とは素晴らしいのです。
私はそれを強調する為に、主人公の仲間になる者はそういう点を強く強調致しました。
能力としては優秀ではあるが、性格的には欠点でしかない。これは仲間の1人であるアケディアをイメージした時の言葉なんですが、こんなキャラクターはどこにでも居ます。そして現実にも多く居ます。
どんな人間にも良い点と悪い点はあります。
けれどもなんとか頑張っているからこそそこに物語が、生きている実感が生まれるのです。
今作の主人公は身体の部品を入れ替える事によって新たな力を得ますが、それもまた「長所と欠点」を強めた結果と言えます。
どんな物にも長所があり、欠点があります。
欠点があっても長所の分を上手く使いこなしてこそ、本当の"英雄"と言えるでしょう。
既に復讐の相手、《蒼炎》を倒しました。けれども物語は続きます。
本来の《復讐》を意識した物語なら、ここで終わりなんでしょうが人生とはいつまでも続くものです。
この作品は《復讐劇》ではありません。
《英雄譚》なのです。
自分の鬱憤を晴らして、終わりではありません。
《英雄》は、皆を救うために行動するのです。その道になにが待ち受けようとも。
……書けば書くほど、頭の中がぐやぐちゃになってしまいました。
作品の制作秘話を語るのって大変ですね。
よろしければご意見、ご感想をくれると嬉しいです。




