表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

童話・児童小説風

DOS子ちゃんとPINGくん

作者: 霧島まるは

この物語はマニア向け童話となっております。タイトルを見て意味が分からない方には、最後まで意味が分からない物語である可能性が高いです。

読む前に、あらすじおよびタグを確認されることをお勧めします。

もう一度繰り返しますが、これはマニア向け童話です。どうぞご注意下さい。


 むかしむかし、DOS子ちゃんという働き者の娘がおりました。


 けれど彼女は一度にひとつのことしか出来ず、正しい言葉を使わなければうまく仕事が出来ないため、周囲の人は「面倒だなあ、でもこの子しか仕事の出来る子はいないしな」とどこかあきらめ気味に彼女と付き合ってきました。


 そんなある日、DOS子ちゃんに弟が出来ました。


 名前をWIN太郎くんといいます。WIN太郎くんはDOS子ちゃんの何倍もの仕事をこなし、同時にいくつものことも出来る賢い子でした。たまにグズったり癇癪を起こすこともありますが、それもご愛嬌です。


 最初はDOS子ちゃんとの扱いの違いに戸惑っていた周囲の人も、気がつけばすっかりWIN太郎くんのとりこになりました。


 周囲の人は、WIN太郎くんばかりと付き合うようになり、次第にDOS子ちゃんのことを忘れていきました。華やかなWIN太郎くんとは違い白黒の多いDOS子ちゃんは、黒い画面に白い■を点滅させながら、仕事が来るのをずっと待っていました。


 そんなある日、WIN太郎くんの家にひっそりと間借りしていたDOS子ちゃんの部屋の扉を叩く人が現れました。誰だろうかと思ったら、扉の向こうから「こんにちは、僕はPINGです」と声が聞こえてくるではありませんか。


 そして扉の向こうの彼はこう言いました。


「あなたの力を貸してください」


 PINGくんは続けて言いました。


「僕の仕事は、人探しです。いろんな人がいるかどうか探すんです。その仕事には、あなたの力が必要です」


 DOS子ちゃんは答えます。


「ええ、私でよければ喜んで」


 そして、DOS子ちゃんはPINGくんを打ち出しました。


「あなたはいますか? そこにいますか?」


 そんな言葉とともに、PINGくんは世界中を飛び回り人を探します。


 すると答えが返ってきます。


「いますよ、ここにいます」


 また違う人を探すために、DOS子ちゃんはPINGくんを打ち出しました。


「あなたはいますか? そこにいますか?」


「いますよ、見つけてくれてありがとう!」


 たまにはいない人もいました。それでもめげずに、DOS子ちゃんはPINGくんを打ち出しました。コウモリの超音波のように、潜水艦のソナーのように、目に見えない誰かを探すために彼女は何度もPINGくんと仕事をしました。


「PINGくん、私この仕事好きよ。見知らぬ遠くの人と話が出来るのが、とても楽しいの」


「それはよかった、DOS子ちゃん。僕は君とずっとこの仕事をしていきたいんだけど、一緒にいさせてくれるかな?」


「ええ、喜んで」


 DOS子ちゃんは嬉しそうに微笑みました。


 こうしてDOS子ちゃんは、弟のWIN太郎くんの家でPINGくんと慎ましやかに暮らしました。


 PINGくんが部屋に帰ってくる時は、扉をノックして「DOS子ちゃん、あなたはそこにいますか?」と問いかけ、彼女もまた「いますよ、私を見つけてくれてありがとう」と答えるようになりました。



『終』



黒い画面でPINGを打ち出したことのある方は、二人の行く末をどうぞ温かく見守ってあげてくださいませ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ほろり
[一言] DOS 子ちゃんは村娘のようなオープンなレディですね。 近頃の高飛車レディ達はとてもシャイで、PING 君がやってきても居留守をしてしまいます。 これには 凄腕軟派師こと PING 君もお手…
2014/01/15 15:44 退会済み
管理
[良い点] DOS子さん、そちらのDOS子さんは穏やかにお過ごしのようで何よりです。 こちらの方は、そろそろ過労死しないか心配なほど寝ても覚めても重労働に明け暮れています。 PING君より内気なI…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ