低学年組シリーズ 遥×高飛×蓮
「はるかー!たかひー!虫取り行くぞ!」
蓮が虫あみに虫かごを持って外から叫んでいる。まだ校舎内に残っていた遥と高飛は顔をみ合わせた。
「虫捕りなら昨日行ったじゃないか」
高飛が窓の外に向かって叫ぶといいからこい!とのガキ大将のごときご命令が出る。
うだるような暑さだ。本当は二人共出来る限り外には出たくなかったが仕方なく外に出た。
「今日こそはヘラクレス大カブトをつかまえてやるぜー!」
「ヘラクレスなんてここにいないよ?」
おずおずと呟くように言う遥にいるんだよと目で脅しをかける蓮。
「そうなの?でもみたことないよね」
天然でのツッコミ。高飛に言われればムッとして蓮は絶対みつけてやると更に意気込む。
「ねぇねぇ、こんな奥まで入ったら危ないってお母さんが言ってたよ?」
だいぶ山奥に入ったところで高飛が虫取りに夢中になっている蓮に声をかける
「そろそろ帰らない?かな?」
遥が提案するもここまできたらあとに引けなくなっていた蓮が
「まだヘラクレスつかまえてないからダメだ!」
と睨みつける
「だから、ヘラクレスなんてこんなところにいないってば。」
うんざりしたような高飛に言われ
「だって、父ちゃんが言ってた…」
と蓮は涙目になってしまう
「からかわれたんだよ」
「違う!」
「じゃあ、ヘラクレス探せば。いこう、遥」
高飛が遥に声をかけて元きた道を戻りだす。
「どこ行くの!?」
「帰るんだよ、お母さん達が心配するから」
「蓮は!?」
「ヘラクレス探すんだってさ」
淡々とした口調で返す高飛。遥は心配そうに2人を交互にみくらべる。
「ふん!ひとりで探すからいい!」
蓮はダッとさらに山奥に走って行ってしまった。
「あの、高飛?」
「なに」
「珍しく怒ってるんだね」
「そりゃね、怒るよ。」
「でも、やっぱり心配なんだね」
クスッと遥が微笑む。高飛は蓮が入っていった山奥にむかってはや歩きで戻りだしていたからだ。
「そりゃね、友だちだもん。遥は戻って大人の人たち呼んでよ。俺が蓮をみつける」
このあと、無事に高飛が号泣している蓮をみつけだし帰ってくることになる。