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島の友情物語  作者: アリン
3/12

高学年組 翔×孝介 (海) 

自転車を海岸の階段上に止め置き翔と孝介は2人、砂浜までおりる。裸足になると足に絡みついてくる砂がなぜか気持ちよく感じて翔はふと孝介に視線を向けた。

「なんか気持ちいいね砂が僕の足を包み込んでくるみたいだ」

同じ事を考えている孝介に翔はなんとなく嬉しくなってそうだなと相槌をうつ。

「ねぇ、翔さ…」

「なに?」

「それ、痛くないの?」

それと言って孝介が翔の耳を指差す。ピアスのことだとすぐにわかるのは心配症な幼馴染の性格を理解しているからだ。

「痛くねーよ」

翔は耳を引っ張ってみせると孝介は自分のことのように「いたい」と口を動かした。

「痛くねーってば、孝介は怖がりだな」

翔は苦笑いをひとつして孝介から視線を外した。

「翔、僕になにか話したいことない?最近元気ないよね、話しかけても上の空だし」

孝介がふいに呟くと翔がぴくっと跳ねて

「んー…なんでもない」

と答えを返す。

「嘘だよ、絶対ウソ。翔が喋る前の「んー」は嘘つくときの癖だもんね」

あっさりと見ぬかれて翔は苦虫を噛み潰したような顔をして頭を掻いた。小さい頃はイタズラがバレた時によくこの顔をしていたなと孝介は想い出す。

少しして翔が意を決したように口を開いた。


「孝介さ…高校卒業したら島出るってマジか?」


不安げにどこか泣きそうな顔にも見える表情で確認してくる翔に孝介はポカンと口を開ける。

「なんで?出ないよ?」

「それこそ嘘だ!お前の母ちゃんと俺の母ちゃんが話してるの俺聞いたもん!」

噛み付くように言う翔に孝介は耐え切れずに吹き出した。

「違うよ、翔。多分それは恭也の話」

孝介の弟の名前が出てくれば翔は眉をひそめた。まだ疑っているのだ。

「恭也は島出るって言ってるもん。だから恭也の話じゃないの?」

「…」

「僕の母さんが言ってた?僕が島を出るって」

「そういえば…名前は言ってなかった…」

真相を知ればカァァと翔は顔を真っ赤に染め上げ恥ずかしそうに顔を両手で覆い隠した。

「僕が居なくなったら寂しいんだー」

「うるせー!」

「僕もだよ?翔が居なくなったら寂しい。考えたくもないよ。」

ふっと真顔になって言う孝介に翔は顔から手を離して孝介の目を見る。

「だから、ね?約束しよう」

孝介がニッコリと笑う。落ちかけた夕日が孝介と翔の横顔を朱に染める。

約束と言われてお互い考えていることがわかるのはお互いをよく理解しているから。


「「何処にも行かずに一緒にいよう」」


2人の声が重なる。どちらともなく差し出された小指があわさる。視線が絡まる。

とある休日の2人の友情物語。

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