少女と花
あるところに すなおで人をうたがわない 女の子がいました。
ある日 女の子がおつかいをおえて かえろうとしたところ たくさんの人が なにやらむずかしいかおをして あつまっています。
「あら なにかしら?」
ふしぎにおもった女の子は たくさんの大人たちをかき分けて わのまんなかへむかいます。
「ああ! どなたか王さまを たすけて下さい!」
どうしたのでしょう 男の人が 大人たちにむかって さけんでいるようです。
「王さまがびょう気で たおれてしまいました! びょう気をなおすには この町のちかくにさく 花がひつようなのです!」
「そんなことを 言われてもなあ」
「むちゃを 言わないで下さいよ」
大人たちはみな こまったように かおをしかめています。
なぜなら そのお花は とっくの前にさきおわって かれていたからです。
女の子も王さまがかわいそうだとおもいましたが 大人たちの言うとおり もう そのお花はありません。
「だれか だれでもよいのです! 王さまをたすけてください!」
むねがいたくなるようなさけびは よるになるまでつづいていました。
つぎの日のあさになっても つぎのつぎの日のあさになっても ずうっと男の人はたすけをもとめて さけんでしました。
そんな男の人をむしして とおりすぎていく大人たち。
町へいくたびに それを見ている女の子は 男の人がかわいそうだと 思うようになりました。
そのとき ふと おかあさんがお話してくれたことを 思い出します。
「森にはね なんでもおねがいいごとをかなえてくれる まほうつかいがいるのよ」
「そうだわ! まほうつかいさんに 王さまをたすけて下さいって おねがいしてみましょう!」
そのつぎの日 女の子は町はずれにある森に いきました。
「もしもし そこのおじょうさん」
するととつぜん こえをかけられました。
びっくりした女の子のまえに 男の人があらわれます。
「おじょうさん おじょうさん 先ほどから何かおさがしのようですが 何をおさがしかな?」
びっくりしつつも 正じきな女の子は こたえます。
「あのねお兄さん 王さまがびょう気で なおすのにお花がひつようなんですって」
男の人は うんうん とうなずきながら やさしいこえでいいました。
「それは どんなお花なのかな?」
女の子は いっしょうけんめい お花のせつめいをします。
小さくて 白くて でもこのきせつにはかれていて もうさいていないお花だと。
「なあるほど! どうやら おじょうさんがほしいお花は これのようだね!」
男の人は 女の子に一りんのお花を さし出しました。
なんということでしょう! それは女の子が さがしていたお花ではありませんか!
「まあ! そのお花があれば 王さまはたすかるのよ!」
「おお! それはなんてすばらしい! それなら おじょうさんにあげようじゃあないか!」
おどろいた男の人は うやうやしく女の子の小さな手に そのお花をのせてあげます。
「お兄さん ありがとうございます!」
「とんでもない! 王さまがたすかることを おいのりしてるよ」
女の子はうれしくて もう一どおれいをいおうとすると そこには誰もいませんでした。
ただただ 草と木がひろがっているだけでした。
「もしかして あの人が 森のまほうつかいさんだったのかしら?」
ちいさなむねに白いお花をだきしめて ふしぎなたいけんをした女の子は 町にかえります。
そうして きょうもきょうとて さけんでいた男の人へと 白いお花をわたしました。
とてもかんげきした男の人は 王さまがふせっているというおしろへと すぐにかえっていきます。
そうして なんにちかあとのこと。
王さまが しんでしまったというしらせが くに中にひろがりました。
「あのお花をあげれば 王さまはたすかるって言ったのに!」
「にせものをわたすだなんて なんてひれつな子どもだ! この子どものせいで 王さまはしんでしまった! どうしてくれるんだ!」
ずっとずっと町でさけんでいた男の人が 女の子におこっています。
「わたしは ちゃんと言われたお花をわたしました!」
「ええい! うそをつくんじゃない!」
かおをまっかにした男の人は それはそれはりっぱなけんを ふりおろしました。
そうして そのくにに あたらしい王さまが やってきました。
するとどうでしょう まえの王さまのときよりも りっぱなくにになっていくではありませんか。
わるいことをしていた えらい人たちは みんなつかまったり くにからおい出されてしまいました。
その中に 王さまをたすけてほしいと さけんでいた男の人もいました。
女の子は とてもわるいい王さまをたいじした 小さなえいゆうとして うたわれるようになりましたとさ。
めでたしめでたし。
目を通してしまった方々、どうもありがとうございます。
相変わらず理解できない、どうしてこういう流れにするのか、と思っていただければ満足でございます。
また、場面転換が急なのは童話の仕様です。手持ちの参考文献ではこのような感じでしたので、問題ないと思います。
多分。
ここまでの数話、あまりにも訳が分からな過ぎて頭痛くなりますかね? と思いまして、各話に解説でもつけようかと考えた時期もありました。
…まあきっと、恐らく大丈夫でしょう。
各々の背景等は、皆様のご想像にお任せいたします。
以上。