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陰気童話  作者: 古風
4/10

悪魔と対価

『五月五日』

 有り得ないことに、驚くことに、悪魔が実在していた。

 何よりも黒く、影のような存在であった。人の形をとってはいたが、全体が黒い染みのようなもので、生きているモノとは思えなかった。

 だが、それこそが悪魔であった。

 当然だが、人間ではない。人間ならば、壁を自由にすり抜け、部屋を行き来することなど不可能。

 驚くことに、悪魔は黒い染みのくせに人の言葉を話す。どこから声が出ているのかは分からないが、確かに私と悪魔は『会話』をしたのだ。

 そうして、私は物語にでもあるように悪魔と契約を交わした。

 確かに人の形をしただけのソレと会話をすることは、恐怖でしかなかった。

 しかし、いやに友好的な悪魔は私の言葉を真摯に受け止め、親切にも細かな忠告をした上で契約をした。

 そう。今日、私は全てを手に入れたのだ。


『四月四日』

 最近ふと思うのだが、何かを忘れているような気がする。だけども、悪魔に願ったことは確かに叶っている。

 全てを手に入れた私の心は幸せである。

 今の幸せがずっと続くと思うと恐ろしい。だが、その恐怖もすぐに多幸感に包まれて薄れて、どうでも良いと思えるほどだ。

 日記を見返して見る限り、私は悪魔に、影に対価を支払っているはずだが、それが何なのか思い出せない。

 私が思い出そうとしているのは、忘れていると強く思うのは、このことなのだろうか?

 まあいい。何を忘れていようと私が幸せであることには変わりなく、悪魔には感謝してもしきれない。


『三月三日』

 私は幸せです。毎日、毎日、幸せな気持ちで、毎日幸せな気持ちです。

 どうして私はこんなに幸せなのでしょうか? 私だけこんなに幸せなのでしょうか?

 そうじゃないなら、私はみんなに、この幸せを分けてあげたいです。どうやったら、みんな幸せになってくれるのでしょうか?

 そういえば、何かを忘れているような気がします。気のせいでしょうか?

 気のせいだと思います。こんなに幸せなのだから、私は何も忘れてはいません。

 だって、大事なことを忘れていたら幸せにはなれないって、だれかが言ってましたから。


「ニがつ二にち」

 幸せです。

 わたしはとても幸せです。

 おとといも、昨日も、今日も、同じ幸せです。

 きっと、明日もあさっても、しあさっても、ずっと幸せなんだとおもいます。

 こうやって日きを書いていても、幸せでわらってしまいます。

 今日は、ずっと前の日付の日きをよんでみました。

 いみがよくわかりませんでした。

 でも、幸せだって日きには書いてありました。

 まい日幸せだって書いてありました。

 きっと、わたしじゃないだれかが日きを書いて、幸せを分けてあげようとしていたんだとおもいます。

 その人はやさしい人なんだとおもいました。


「いちつきいちにち」

 きょうもわたしはしあわせです たくさんたくさんしあわせで わたしはしあわせです

 しあわせでとてもうれしいです しらないひとにしあわせそうだね といわれてわたしはとてもしあわせです

 きょうもわたしはしあわせです たくさんたくさんしあわせで わたしはしあわせです

 しあわせでとてもうれしいです しらないひとにしあわせそうだね といわれてわたしはとてもしあわせです

 きょうもわたしはしあわせです たくさんたくさんしあわせで わたしはしあわせです

 しあわせでとてもうれしいです しらないひとにしあわせそうだね といわれてわたしはとてもしあわせです

 きょうもわたしはしあわせです たくさんたくさんしあわせで…………






 最早童話でなく、ただの山なし落ちなし意味なしの、怖い話になりそこなったような何かです。

 しかも、やはり良くある展開です、ハイ。

 何かを期待してしまって目を通した方…

 有難うございます。

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