幽霊ノ身体デ
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フワフワと浮かぶだけの、雲の上の世界。
私がそんな世界に来てから、数時間経った頃―――
私は幽霊の身体に少しずつ慣れ始め、天と地の行き来が自由になってきていた。
だけど、そんな私には帰る場所が存在しない。
現世に戻ることも、来世にも行くこともできない。
私は行き場を失った浮遊霊。
ただただ、そこにフワりと浮かんでいることしかできない。
私が今見ている、広いスクランブル交差点。
そこには青信号になって横断歩道を渡りはじめる歩行者がいた。
その中には携帯で電話している人もいるし、俯きながら歩いている人もいる。
悲しげな人々、 今にも自殺をしようとしている人がこの世には溢れている。
だけど、私はそれを実行した人間。 もう、生き返ることは叶わない。
まぁ、だからといって、別に生き返りたいわけじゃないんだけれども、成仏はしたいと思っている。
――で、私は考えていた。
死んでから、現世に残るのではなく成仏してあの世に行く方法を。
だって、幽霊になって現世にいるんじゃあ、この世との縁は断ち切れていない事になる。
そもそも、私がしたかったことは“この世との縁切り”。
だから、私は未練も何も残っていないこの世から、完全に成仏したいと思っていた。
だけど、馬鹿な私には成仏する方法が全然 思い浮かばない。
――さて、どうしたものだろうか?
私はそんなことを、フワフワと空を旅しながら考えていた。
だけど、“ピンッ”とくる案が全く浮かばない。
――どうすればいいのだろうか?
私は成仏する方法について何時間も悩んだ結果、疲れ切っていた。
だけど、そんな時、目の前に死んだはずの木村が現れたのであった―――――。