ジサツをスル
独り狭い部屋の中、私はロープを手にしていた。
先生から聞いた話だと、木村は首吊り自殺をした。
だから、私も首吊り自殺をしようと思う。
――木村は私の事を本気で想っていてくれたみたいだし、私には自殺の方法なんて思い浮かばないから、とりあえず木村の真似をしてみようと思う。
さて、そんな理由でロープを手にしている私。
そして、そのロープであらかじめ首を通す輪っかを作り、箪笥の上にある 地震対策用のつっかえ棒に引っかける。
さて、これにて準備は完了。
ロープの固定もちゃんとしたし、後は首を通して、重力と言うモノに身を委ねるだけ。
それだけで私は死ぬことができる。
――短いようで長かった人生もこれで終わり。
そう思うと『少し寂しい』と感じるのは、隠しようのない事実である。
だけど、『生きる気力がない』というのも我慢のできない現実である。
だから、私は死ぬことを決めたんだ―――――。
そして、私はゆっくりと首を輪っかに通し始める。
さて、まだ苦しくはない。 苦しいのは首ではなく心。
だから、まだ首は苦しくなんてない。
ただ、『これから少しだけ苦しくなる』という事を考えると、ちょっとだけ心が恐怖で満たされる。
だけど、それは仕方のない事。
自殺という罪を背負うのだから、少しくらい痛みを味わうのは仕方のない事。
ただ、誰も私を助けてくれなかったというのは、ちょっとだけ気に入らない。
私が他人とそういう付き合い方をしてきたのだから仕方のない事なのかもしれないが、それについては少しだけ後悔している。
だけど、それもあれもこれもどれも、終わってしまった事。
だから、私の想いは変わらない。
――覚悟は決まっているから。
そんなことを思いながら、私は身体を重力に委ねた―――。
独り狭い部屋の中、私はロープに身を委ねていた。
重力という名の、地球の中心へと向かう力。
私はそれによって首吊りを実行し、ユラユラと揺られていた。
――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――
――――――――――――――
―――――――――――
――――――――
―――――