ウットウシイ
――それからまた、少しの月日が流れた。
――そんな頃、私はすごく周りを鬱陶しく感じていた。
正直、 冗談抜きで、 本気でムカつくくらい、 皆が鬱陶しい!!!
だって、なんだか最近の皆の私を見る目が、木村が死ぬ前とは全然違うし、私にとって良い事が何も起こらない。
――それは、私だけが感じている違和感とかそんなものじゃなくて、あきらかに違うものだったはずだ。
彩「ねぇ、楓花は最近いつ“幸せだなぁ~”って感じた?」
昼ごはんの時、急に彩音が突拍子もない事を聞いてきた。
だから時々、私は思うのである。
『この子って、天然!?』ってね♪
だけど、今 そんなことは関係ない。
とりあえず、私は質問に答えるために考えてみた。
そして、浮かんだ答え―――。
私「う~ん・・・」
「とりあえず、私は一か月ちょっと前のカラオケとかかな?」
「でも、あの時は歌いたかった新曲がなかったし、決して“楽しかった”と心の底から言えるものではなかったんだけどね?」
彩「そうかぁ~」
「私はねぇ・・・」
――っと、別に聞いてもいない事を話し始める彩音。
まぁ、まだ昼休みはあるし、どのみち暇だし良いんだけどね・・・。
ただ、自慢話をされるのは、ちょっと気が進まないっていうかねっ・・・。
――って、そんな私の気持ちを無視して、もう話し始めてるし・・・。
彩「あたしは最近 いつも“幸せだなぁ~”って思ってるよ♪」
「だって、彼・・・ホントに超優しいんだもん!!」
「そりゃあ、彼の優しさと言ったら――――――――――」
――さて、ここで彩音がいう“彼”とは、もちろん彩音の彼氏。
私が木村と別れている間に、彩音は彼氏を見つけたのである。
だから、大体 付き合い始めて一か月半ってところじゃないかな?
とにかく、そんなところにいる彩音は、まさに幸せのど真ん中にいるのである。
だから、私には彩音がとても羨ましく思えて―――――。
私「あぁ、最近の私の幸せって、木村と一緒に死んじゃったのかなぁ~?」
そんなことを、私は静かにポツリと呟いた。
だけど、その声を聞いた者は、この世に誰もいない。
彩音も、周りの人も、私の存在なんて気にせずに―――――。