オソウシキデ
私「うわぁ~」
「私、誰かのお葬式とかって初めてなんだよね・・・」
「初めて知った!! こんなに真っ黒になるもんなんだね・・・」
彩「やめなよ・・・」
「知らない人のじゃないんだし、木村君のなんだよ?」
「だから、少しぐらい静かにしてなさいよ・・・」
「じゃないと、あの事がバレちゃうかもしんないんだからさ・・・」
私「だいじょーぶ!!」
「だからこうして彩音にしか聞こえないように小さな声で話してるわけだし・・・」
「それに、みんな泣いてるんだよ!?」
「だから、そっちの音の方がうるさいから聞こえないってばっ!!」
「だから、そんなにビビんなくたって大丈夫だってばっ!!」
彩「まぁ、そうだよね・・・」
「逆に身構えすぎの方が怪しいもんね・・・」
私「そうそう・・・」
「木村が死んだのは なにが理由でかは知んないけど、身構えすぎは良くないよ!」
「だって、もし私にフラれたこととか、馬鹿にされたこととかで自殺したんだったら、それだけ心が脆い証拠でしょ!?」
「だったら、親とかも私や彩音を恨むんじゃなくって、心の脆い息子と、強く育てられなかった自分達を恨むべきなんだって!!」
「じゃないと、筋が通らないってばっ!!」
「だから、大丈夫だって!! 胸張っていようよ!!」
彩「でも、確かにそうかもしんないけど、私達も少しくらいは反省するべきなんじゃないかな?」
「だって、私達が言いすぎたってことは事実なんだし、何より木村君は死んじゃったんだよ?」
「だから、謝ることができない以上、少しは気持ちを込めて手を合わせた方がいいんじゃないかな?」
私「まー、確かにねっ!」
「だけど、そんなに気にする必要はないし!!」
「だって、もう死んじゃった人は生き返らないんだもん!!」
「だから、適当に終わらせて、ちゃっちゃと帰ろうよ!!」
私はそんな感じで葬儀屋を後にし、家に帰宅した。
私「ただいまぁ!!」
「あぁ~ 疲れた!!」
「ねぇ、おかぁ~さん!!」
「ご飯とかって残ってる!?」
私は玄関から叫ぶようにしてリビングに向かう。
母「そこの机の上に置いてあるけど、冷えてて気になるなら レンジでチンして食べて!」
私「わかった! それじゃあ、着替える前に食べていいかな?」
母「いいけど、あんた よく食欲があるわね・・・」
「同級生の方が亡くなったんでしょ!?」
「そんな状況で食欲が残ってるとか、すごい神経よね・・・」
私「はぁ? 私のお腹とあいつの死は関係ないでしょ!」
「腹が減っては 戦はできぬ って昔から言うしね!!」
「だから、お腹が空いた時は、食べなきゃいけないんだよ!!」
そんな感じで、私は木村君が死んだ一日を終えた―――。