表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テルテルボウズ  作者: 尖角
負の連鎖
13/17

不審と思イ込ミ



 カラオケの後、彩音ちゃんは自分の部屋で考え事をしていた。


 その考え事とは、もちろん夢樹将也君との関係について。


 ――なぜ、最近の将也君は笑わないのか?


 ――なぜ、将也君は、この間のカラオケの誘いに乗らなかったのか?



 あの日は本来、将也君の塾がない曜日。


 だから、彩音ちゃんは不審に思っていた。 将也君を・・・。



 だが、悩んでいても何の解決にもならない・・・。


 そう思った彩音ちゃんは、将也君にメールを打ち始めた。



 「なんで、この間 カラオケに誘った時に、塾があるなんて嘘ついたの?

  いつもなら、塾が休みの日だから、そんな事 言わないよね?

  だから、将也君から本当の理由を聞きたくてメールしました。

  連絡待ってます。        彩音より。                」



 いつもなら、絵文字とか顔文字とかで可愛くデコってある彩音ちゃんのメール。


 だけど、今回のメールには、そんな可愛さが一つも存在しない。


 要するに、それだけ余裕がないっていう証拠―――。


 実に彩音ちゃんはわかりやすい。 面白いくらいわかりやすい。






 ――――――――――――――――――――




 ―――――――――――――――




 ――――――――――




 ―――――






 だけど、そんな彩音ちゃんも もうお仕舞・・・。


 だって、何時間待っても将也君からの返信は来ないんだもん♪


 ――幽霊って、電磁波的な能力を操れるんだ♪ みんな、知ってた!?



 そんな理由で、私は彩音ちゃんが将也君に送ったはずのメールを操って未送信状態にした。


 いやっ、正確に言えば彩音ちゃんの携帯には“送信成功”って出ているわけだから、未送信状態ってわけではない。


 だけど、どちらにしろ将也君の携帯に届かないように妨害したことは事実。



 だから、彩音ちゃんは決断することになるのである―――――。






 ――――――――――――――――――――




 ―――――――――――――――




 ――――――――――




 ―――――






彩「なんでっ・・・」

 「なんで・・・返信が来ないの?」

 「やっ、やっぱり嫌われちゃってるのかなっ・・・私っ・・・」



 彩音ちゃんはベッドの上で、泣くのを必死に堪えようとしているが、残念ながら その努力は報われず 顔は涙で濡れている。


 だから、そんな涙を拭うために、彩音ちゃんは顔を枕に沈め込ませた。


 そして、鼻水を(すす)る・・・。 しかし、それ以上に溢れ出る涙と鼻水。




 もう これで、彩音ちゃんの人生も終わり・・・。



 私は彩音ちゃんの耳元にフワフワと近づいて、囁いた。


私「楽になりなよ・・・」

 「自分のためにも、私のためにも・・・」

 「だから、お願い・・・死んで頂戴・・・」



 ――私は嗤いながら そう言った。


 だって、全てが思い通りなんだもんっ!!


 彩音ちゃんの死も、後々見せるであろう将也君の悔し顔も―――。




 それもそのはずだ。 だって、将也君は悪くない!!


 この間 カラオケに行けなかったのは、塾での特別授業があったからだし、今回の彩音ちゃんが待っていたメールの返信ができなかったは、そもそも自分の携帯に彩音ちゃんのメールが届いていなかったんだから仕方のない事。


 だから、彩音ちゃんの死んだ理由がわからない将也君は、「なぜ相談してくれなかったんだ!!」って悔しがるに決まっている。


 だけど、私は多分 その姿を生で見ることはできない。


 だって、将也君が悔しがる頃に、私はすでに成仏してこの世にはいないのだから♪






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ