イヘンにキヅク
さて、彩音をターゲットに決めた私。
そんな私が今からすることは、“彩音を見守り続ける”ということ。
そんな私がこれからしなきゃいけないのは、この世から旅立つための“成仏”。
では、そんな私は果たして“成仏”できるのだろうか?
その答えは彩音が・・・小嶋彩音ちゃんが握っている・・・。
そして、その当の本人である彩音ちゃんは、彼氏とイチャついている最中である。
彩「ねぇねぇ~」
「これからカラオケ行こうよぉ!」
将「ごめん・・・」
「塾あるから、他のことして遊ぼうぜ?」
彩音ちゃんの彼氏の名前は、夢樹将也君。
まぁ良い奴で、それなりに顔も中身も良いと思う。
だけど、私はこいつも気に入らない。
だって、彩音ちゃんと幸せになろうとしている。
彩音ちゃんを幸せにしようとしている・・・ってか幸せにしている。
だから、将也君も気に入らないけれど、それよりも彩音ちゃんの方が気に入らない。
だって、木村が死んだのには、彩音ちゃんにも責任があるはずだ・・・。
それなのに、私の死すら気にせずに、のうのうと今を笑って生きてやがる。
それが気に入らない!! だから、彩音ちゃんを殺してやるんだ!!!
そうやって、私は揺るがない想いを胸に、彩音ちゃんを見守り続けた―――――。
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そして、数日後、彩音ちゃんが異変に気が付いた。
彩「おかしいな・・・」
「最近、将也君が笑ってくれない・・・」
「そんなに私の話ってつまんないかなぁ・・・」
それは、彩音ちゃんが行きたがっていたカラオケでの独り言。
今は将也君がトイレに行っていて、彩音ちゃんが一人の状態。
そんな時、彩音ちゃんが困っている時にとる行動を私は目にした。
それは、ドリンクバーで取ってきたコップに刺さっているストローの蛇腹部分を折っては伸ばして折っては伸ばしてを繰り返す独特の行動―――。
私は生きている時に、「彩音ちゃんは困った時にそれをやる癖があるよね」と告げたことがある。
だからか、彩音ちゃんはそれから私の前でもそういう行動をとらなくなった。
もちろん、癖は直そうと思っても簡単に直るモノじゃない。
だから、絶対に見なくなったってわけではないが、あまり見ることはなくなっていた。
だけど、今は違う。 今は、その行動をしている・・・。
っということは、『癖を直そう』と思っていられるほどの余裕がないってことだ。
だから、私は思うのである。
――そろそろ、新しい負の連鎖が始まる・・・っとね・・・。