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プロローグ
開けてはいけない
このドアは
開けてはいけない
絶対に
胸の鼓動が、身体に張りついた水着の中で
それをあたしに伝えようとしている。
濡れた髪から、タイルにそっと一滴…。
それがまるで合図かのように
あたしは静かに、ドアノブを回し…
気づかれないように、そっと
倉庫の中を覗き、見た。
…。
……。
………。
そう、これはきっと…“夢”。
練習終わり、後片付け、倉庫の中…。
思い出しては、いけない。
心の片隅に追いやって、記憶にしっかりと蓋をして。
あたしは何も、見て、いない。




