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その男、傍若無人
…目覚まし時計が鳴っている。
うるさい寝かせろ邪魔すんな…
俺はそう思い、首の下辺りにあった掛け布団を頭まで被る。
「ジリリリリ」
「ジリリリリ!!」
「ジリリリリ!!!!!!」
うるせー!!
音の量は同じ筈なのに、一度意識してしまうととても大きく響いているように聞こえてしまう。
「ジリリリリ!!!!!!!」
ああ、もう駄目だこりゃ寝られん。起きよう。
俺は頭まで被っていた掛け布団をどけ、目覚まし時計のスイッチを止めた。
「7時30分…」
高校のHRは確か8時から…しかも今日は始業式…移動時間は電車含めて1時間…
「や…やっべー…初日から寝坊かよ…けど焦ったってもう無理だな。ゆっくり行こ」
俺はそう呟いてゆっくり着替えてゆっくり朝飯を食べて平然と家を出た。
朝飯を食べている時親と軽い口喧嘩になったのはまぁ…どうでもいいことだ。