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思い出のなかで

作者: Soraきた
掲載日:2026/06/29

待ってる時間で

じつは、あなたに出会った頃のこと

思い出してた


バイトの休憩時間に

あなたが現れた

声をかけてきたのも

あなたからで

わたしは、そのとき

同い年とは思わなかった

近くの学校でもなくて

趣味がいっしょでもなかった

はにかんだ笑顔は

少年のようでいて

どこか、さみしそうにも見えた


あなたに

出会った頃のことを聞いたところで

覚えてないよ、の文字だけが

目に浮かんだ

懐かしさのあまり

涙がこぼれてきた

あなたに会う前に

こんなふうでは

いけないね

急いで、いつもと変わらぬ自分を

繕った


趣味がおんなじになったのは

いつの頃だろう

わたしが唯一、

思い出せないこと

そして、あなたにも聞けないこと

やさしかったね

いつも、いつでも


あなたは

「それだけが自慢だよ」と

いつも言っていたけど

なかなか、やさしさだけ

追い求めるのは

難しいよ


あなたがいつものように

大きな歩幅でやってきた

いつもより雰囲気が違うのは

何か抱え込んで

いや、

今日はわたしの誕生日でもないんだけど


他に思い当たるところもなく

はにかんだ笑顔でやってきた

幸せの涙って

こんなことを言うのだろうか

わたしは立ち止まり

しばらくは

新鮮な

今日、出来立ての

思い出の中にいた



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