4話 奴隷商街
――数日後、俺たちは王城へ向かう途中の街の前に到着した。
「「はぁ〜〜〜長かったぁ〜!!」」
と二人して叫んだ。周りから変な目で見られてそうだが気にしないことにする。ここ数日風呂入ってないし速く街入って身体綺麗にしないと…っとその前に
「おぉいカミラ!聞いてた話より魔物メッチャクチャ多かったんだが!?それにお前も働けよ!!魔物全部俺が倒したじゃねぇかっ!!」
「いいじゃん今生きてるんだし…細かいこと気にすんなよカナタ…」
「よ、か、ねぇ、の!!カミラと違って魔物の体液もろに浴びるから不快感やべぇんだよ!というか何が出来るかも分からない素人を戦わせるなよいきなりさぁ!」
「いやいや、護身用とは言え私の剣で十分魔物倒せることが判明したから結果オーライでしょ。それと魔物についてはね――」
カミラが俺の耳元に口を近づけ、小声で囁く。ぐっ…えぇいドキドキするでない俺の心臓!
「たぶん、カナタが魔王様だからだと思う」
「………あー、そっか。じゃあ俺のせいなのか…?ははは~、ごめんごめん」
「いやぁ別に謝るようなことじゃないでしょ」
「いやぁメンゴメンゴ」
「……それ、謝ってるの?」
よし、だいたい言いたいこと…というか不満は言えたので良しとしよう。あちら側ももう良さそうだし。
今のやりとりを見てもらえばだいたい分かると思うが、この数日で俺らは大分お互いを信頼し合えるようになってきた。ま、要するに仲間として認めつつあるという事だ。…………何目線だよ俺。
「おいハルキ、もう私疲れたから速く行こうぜ」
「翼魔族なんだし飛んどきゃいいのに…」
「飛ぶのも疲れるんだよっ……!それに、私が魔族だってバレるとヤバイことくらい知ってるでしょ…」
こんな風に、もうカミラは俺に対して完全に素だし、様付けもやめて呼び捨てになった。こっちの方が俺としては接しやすくて助かるというものだ。……まぁ、魔王扱いは辞めてくれないのだけれど…。
ちなみに、魔族な事をバレてしまわない様にカミラはその辺の旅人が落としたであろうコートを羽織っている。まぁ、服脱がされるとかない限り大丈夫でしょう。
「へいへい、大丈夫だって。それじゃあ入りますか」
「なぁとりあえず宿探そう!宿!寝たい!!」
「あー分かったよ…それじゃあまずは宿探しで――」
「や〜ぁやぁやぁこんにちは若き旅人様方!!」
こんな風なくだらない話をしながら街に入ったのだが…小太り体型でモノクルをかけたいかにもという感じの老人にダル絡みされた、最悪。
「えと、なんですか…?」
「いやはやいやはや!私と最初に出会えるとはなんと幸運な方々でしょうか!見たところあなた様方はこの街に来るのは初めての様子!」
……話聞かねぇな、このクソじじい。まぁ終わるまでは待つか…
「それでそれで、何をお求めでしょう!?労働力ですか?性処理ですか?それとも肉壁でしょうか!?なんっでもお申し付けくだされ!きっとあなた様方の好みに合わせた奴隷を…って、失礼しました!パートナーがいるんですもんね、性奴隷とか不要ですよね!」
「は?」
「……カナタ。ごめん、帰ろう」
たはは―と笑う老人を尻目にカミラがそう提案してきたが…正直、耳に入っていなかった。この老人の言ってることの意味が分からない。いや、まぁ分かるんだが…
「おや、ご存じありませんでした?ここは最高級の奴隷が揃う、人呼んで奴隷商街イヴェルス!!鬼魔族も猫魔族も海魔族も!果てには最近大量に入荷した翼魔族もございます!!」
「…………は、あぁ?」
意味が分からない…いや、分かるんだけどさ。おそらく…というか確実に、この街では奴隷を売っているのだろう。それも当たり前かのように、物として扱っている。そこが1番分からない。魔族とは言えなぜ奴隷なんて酷いことができるんだ…!?
「カナタ!もういい、帰ろう!カナタにこんなとこ見せたら―」
「いや、いやいや!そんな事おっしゃらずに!ね?――旦那、いったい何が欲しいので?」
……残念なことに、俺がこの世界に来て初めての街は、悪意に塗れているらしい。
カナタ:めっちゃムカついてます
カミラ:ヒロインっぽいところを見せられるかどうか…!
イヴェルス:変な名前の街じゃのう…




