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転生したら、前世の記憶が残っていました。 第一話  作者: jiro-sia
epilogue

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転生したら、前世の記憶が残っていました。 第一話

俺は高橋直人。地球第一世界日本国の住人だ。

今、俺は切り立った崖にいる。物理的にだ。もう、この人生が嫌になって自殺しようとしたのだ。

親に虐待され、学校の奴らにいじめられ、就職してもロクなことはなかった。嫌になって会社を辞め、あっち側の会社に入った時も仲間に裏切られ、逮捕された。間もなく裁判が始まるのだが、もうやりたくない。

せめて記憶だけは残りませんように…

そう祈りながら、俺の意識は消えた。

……………………………………………………………………………………。

どんなに時間が過ぎただろうか。

俺は、地球第一世界日本国に生まれた。

……なんだ?この感情は…?

怖い。怖い。怖い。

親が、母が、怖い。

急に、どうしたんだ?

でも、親が、母が、怖い。

急に、虐待されている青年が頭に浮かぶ。

記憶…?

いや、そんなはずはない。

生まれて数分の人間に、記憶などあるはずがない。

でも、それはまだ頭にある。

そもそも、「青年」や「虐待」を理解しているはずがない。

前世の記憶が残っているのか?

いや、どうして生まれて数分の人の頭に「前世」なんて言葉が浮かぶんだ?

本当に、前世のままの脳なのか?

急に、母が更に怖くなってきた。

「ぎいいいいいやあああああああああああああああああああああああああああああああああああっ‼︎!こわいいいいい‼︎!」

思いっきり叫んだ。母が引いてる。

当たり前だ。生まれたばかりの人が「こわい」なんて概念を理解しているはずもはっきりと発音できるはずもないんだから。

少し大変だったが、なんとか退院してもやはり親が怖かった。

何年も過ぎ、小学校に入学。

やはり、「小学校」という単語を耳にした瞬間頭の中はいじめられた記憶と「こわい」で埋め尽くされていた。

入学式の帰りからいじめられ、卒業式まで学校に行くことはなかった。

卒業式までの六年間、虐待をされることはなかったが、親がほぼずっといる家は怖かった。

少しでもマシな奴が多い私立に入ろうと、中学受験の勉強をした。

死ぬ気で勉強をして、なんとか偏差値68の学校に受かった。

でも、学校に対する恐怖は変わらなかった。

文化祭にも行かなかったし、受験当日も行きたくなかったほどだ。

しかし、中学校で入学一ヶ月後に体罰やいじめを相次いで目撃し、結局不登校になった。

毎年、留年しないギリギリのラインの日数しか学校に行かず、やはり家も怖かった。

高校も中間一貫校だったのであまり期待はしていなかったが、一ヶ月半ほどで行かなくなった。

大学も受験を頑張り、「いい学校」と呼ばれている学校に入り、結果は同じ。どこがいい学校なんだ、と思いながら一年で中退した。

就職が怖くて、SNSなどで収入を得て崖っぷちの生活を送り続けていたある日。

あるメールが来た。


続く

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