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不具合

最近、時間が一番欲しいです。クリスマス、誕生日、時間が欲しいです。

辺りが酒臭くなってきた頃だった。


「囚時っ!!ハナちゃん!ちょっといい?!」そう信也が電車の窓から身を乗り出しながら呼び止める。


【ダッダッダッダッダッダッ】

囚時とハナが勢い良く信也の居る電車の前方へ走り行く。


「ううぇあ、なんじゃこりゃ。ひでぇなぁこれ、、。」

囚時が視線を向ける先には。。。

【ドロッ】

黒い黒い、漆黒のドロドロが電車の前方側にへばりついていたのだ。


「え、グロっ。なんなのこれ。。」それは見てるだけで不快感が押し寄せてくるものだった。まるで、大切だった衣服に糞を伸ばしつけられたような、最近買ったばかりの新車にデカい傷を当て逃げされたかのような感じだ。

「こりゃ取り替えた方が良さそうだな。あのクソガキ共かなぁ。」そう落ち着いた声色とは裏腹に、眉にシワの寄った顔で囚時が言う。

「おい、バクガケット!この傷どのくらいで直る?」

「そんなでけぇ声で言わなくても聞こえてるわ。囚時。」そうひょっと電車の影からバクガケットが現れる。


かれこれ数分後、私達は電車内で休むことにした。

「ねぇ。信也。あとどのくらいで発車できるかなぁ?」珍しく、囚時はバクガケットと話していて忙しい、なので今は信也と会話に花を咲かしている。

「それは分かんないな。でも、そう時間は掛からないと思うよ。彼の修理屋としての腕は確かだからね。」そう相変わらず優しい声で反応する。

「ふーん、そういえば。信也はなんでこんなとこにいるの?天国行けそうなのに。。」そうハナはつまらなそうに話題を変えだす。

「それは、、」

そう喋り始めた時だった。


【ガキィィィィィィィィィィッ!!】

急に電車が前方へ移動したのだ。それにより、一気に体制が崩れる。

「うっ。うおっ!!」体制が勢い良く崩れる中、心配したのは自分のことではなく囚時達だった。

「「囚時っ!!」」

【ガラガララ】

「囚時ッ!大丈夫?」電車の古窓を開け、電車の前方へ問いかける。

「・・・」

「クソッ!まさかっ!」ハナが背筋に冷たいものを感じながら勢い良く電車を飛び出す。

【ビーーーー ピンポーン ピンポーン】

電車のドアの開閉音と共にハナが電車を飛び出す。


【ザッザッザッザッザッザッ】

「囚時ッ!!だいじょっ、、は!!」

そしてハナの目に飛び込んできたのは!


「あっぶな あっぶな あっぶな あっぶな ぁっぶな」ブリッジのような体制であっぶなと何度も唱える、あまりにも笑える醜い姿の囚時だった。


「は?キモッ!?てかバクガケットじいさんは?」そう言いながら線路越し目を向けると。。。


「あっぶな あっぶな あっぶな あっぶな ぁっぶな」同様に惨めな姿になっているバクガケットじいさんがいた。

「も゙ー。心配かけさせんなよぉ。」完全に呆れた声でハナが誰に話すでもなく大声で話す。

「はあはあはあ、囚時、はあはあ、バクガケットじいさん、はあ、大丈夫?」信也が遅れて走ってくる。


「大丈夫じゃ無ぇよ!!タコッ!殺す気かッ!?ついに頭トチ狂ったか!このすっとこどっこい!!」囚時が凄い形相で怒鳴る。

「え、私と信也はずっと喋ってたから運転はしてないよ。」ハナがふと応える。


「は?」


時ほど情があって、時ほど酷なものは無い!!

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