赤鳴きと不思議男
ハナがあくまで自殺しようとしていた少女として描くのがとても難しいですね。
「おらぁ、クソガキィ!殴りやがったな!?ど真ん中を!?死んだらどうすんだ!!」囚時は顔を抑えながら悶絶する。
「ふんっ。死んでる癖に。ってか、なに人エサみたいに扱ってんだよ!この便所コオロギのションベン野郎がっ!」
そういった直後だった。
「囚時、何してるんだい。」
突然、聞き覚えのない異質な声がする。その声はひどく落ち着いてて、どこか優雅さが感じられる声質であった。
「げぇ〜、信也。そうか、ここ赤鳴きだったけか。」そう囚時が顔をしかめながら振り返る。気づかぬうちにその声の主は囚時の背後に立っていた。
そこには古いボロボロのタキシードを身にまとい、麻袋と官帽を顔を隠すように被った、またまた人間とは思えないヤツがいた。だが、そいつのタキシードはボロボロながらも手入れが行き届いており、官帽も真っ直ぐ被っていて、手袋までつけている、そして極めつけには少し古臭い香水まで身にまとっている。その姿から彼の几帳面さがうかがえた。
「誰?ていうか又人外?もう慣れてきたわ。」
その瞬間、麻袋の男が少しムッとした空気感とともに語り始める。
「申し遅れました。私は守神 信也(もりかみ しんや)と申します。通常はこの電車の駅員ですが、時々巡回する駅の見回りを行っています、どうぞ何卒宜しくお願いします。」自己紹介もまた丁寧であった。
「いえ、、、こ、こちらこそ宜しくおねがい、します。」あまりの丁寧さにハナも態度を改める。
なんだ、こいつ。ここに来て初めての常識人か?
「あーあ、あっちゅうまに帰って来ちまったよ。しかも、おめぇそんな柄じゃあ無ぇだろぉ〜?」嫌味ったらしく、先の自己紹介の後だと一層失礼さが目立つ言いぶりで囚時が突っかかる。
「囚時、お前は本当に変わらないね。僕達はこれでも死者を導く立場なんだよ?人間をいじめちゃあだめじゃないか。君、大丈夫かい?」そう囚時に話しながらもハナに質問を問う。
「いえ、あの、、、コイツ嫌です。」ハナは引き気味に答える。
「はぁぁぁ゙?おめぇ、送り返さねぇぞ!」
「囚時。君チンピラにでもなるつもりかい?」声を荒げる囚時を横目に信也が止めに入る。
「とりあえず、赤鳴きは問題なかったから電車の中に戻ろうよ。」
そうして3人は電車に戻って行った。
「ちょっと、囚時君と話があるから待っててね。」そう言うと信也というヤツは囚時と一緒に乗務員室に入っていった。
「君付けやめろ。きっもちわりぃ!」
アイツ、誰にでもああいう態度なのかな?引くわ〜
ハナってイメージはビッチなんですけど、不純異性交遊してなかったり意外としっかりしてるところはしっかりしてるんです。まあ、僕は嫌いですけど。