ルフガメア~祝福を~ ザナハVer.
「ツインスピカ」本編、第234話(第236部)「ルフガメア~祝福を~」でザナハが歌った鎮魂歌を、フルバージョンで紹介します。
*この回の解説欄には本編に関するネタバレが含まれていますので、注意してください!*
ルフガメア~祝福を~ ザナハVer.
雨が降っても悲しくない、アナタのことをとても近くに感じるから・・・。
止まない雨はないと、教えてくれたのはアナタだから・・・。
きっとまた逢えると約束を交わしても、アナタの背中は時折永遠を感じさせる。
すぐにまた逢えるから、さよならは言わないと。
ここにいるよ、側にいる。
必ずまた逢えるから、・・・私達はそう約束したのだから。
アナタはずっと、私達の心の中で生き続けるの。
アナタは楽園へと導かれた天使、苦しみや痛みから解放された永遠の安らぎの中にいる。
ルフガメア ルフガメア 私も連れ出して
行かないで 行かないで 本当は苦しくてたまらない
ずっと探してた想い やっと見つけた奇跡
どうしてこんな風に 手放す時が訪れるの?
忘れないよ、忘れない。
それはきっとアナタが永遠を手に入れたということだから。
アナタは約束してくれた、守ってくれると。
何の為に、誰の為に戦うの?
それはきっと約束を果たす為、大切なモノを守る為にアナタがずっと戦ってきたということ。
言葉にしなくても、態度に出さなくても、ずっとずっと信じていられる。
守ると誓ったアナタの言葉を信じているから。
だから、何も言わない・・・。
言葉にするのがもったいなくて、ずっと大切に心の中にしまっておくの。
ありがとうという言葉を。
愛してるという気持ちを。
ルフガメア ルフガメア 言葉が永遠を約束してくれる
切なくて 嬉しくて こんなに近くに感じられる
ねぇこんな風に 変われる時が来ると信じて
アナタにそっとキスをするの
届け、届け。
アナタが守ってくれた笑顔、こうしてアナタを想って微笑んでるから。
言葉も思いも、この笑顔も。
きっとアナタに届いてる。
祝福を 祈りを この空の向こうにいるアナタへと捧げる
永遠を約束してくれると 空を仰ぎながら 愛を誓う
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<解説>
この歌は「ツインスピカ」本編、第234話「ルフガメア~祝福を~」で歌われた鎮魂歌です。仲間であったジャックの死を悼み、その妻であるミアが光の神子ザナハに向かって「夫の為に歌を捧げて欲しい」と懇願し、実現したものです。
ですがザナハはこの時、正式な「ルフガメア」のメロディーだけは覚えているものの歌詞に至っては全てが難解な『古代レヴァリアース言語』のままだったので、歌詞の意味や象徴を全く理解していなかった。
その為呪歌の基礎を指導したミラへと助言を乞うが、「呪歌は心で歌うもの、ザナハ姫の言葉でいいんですよ」とだけしかアドバイスをもらうことが出来なかった。
戸惑いながらザナハは葬儀に参列している者達を見渡し、そしてジャックの家族を見つめ・・・想いを紡ぎました。
メロディー自体は原曲に沿っていますが、この時歌われた歌詞の全文はザナハが即興アドリブで作り出したものです。しかし歌い始めた時から最後に至るまで、まるで呪文が頭に浮かぶ時と同じように歌詞が自然と頭に浮かんで来たと、葬儀が終わった後になってザナハ自身がそう語っています。
この時のザナハの言葉から、呪歌を歌い出した瞬間から一種の『トランス』に近い状態に陥っていたのではないかとオルフェが説いています。現にこの「ルフガメア」をザナハ歌い、サビに差し掛かった箇所から突然不思議な現象が起こったと・・・葬儀の参列者全員が口を揃えて証言しています。
アカペラ状態から歌っていたにも関わらず、サビに差し掛かった途端にまるで旋律が風に乗って聴こえて来るようにザナハの歌声に合わせて演奏の音が聞こえて来たと―――――その場にいた全員がそれを体験していました。
オルフェ曰く、軽いトランス状態に陥ったザナハのマナが歌に乗せられ、小規模なシグナルゲートを発生させたというのです。
『アンフィニの呪歌』がより完璧な状態になれば、シグナルゲート起動に必要な魔法陣がなくても単体で効果を発揮させることが可能だということです。
その効果とは、旋律にマナを乗せて様々な効力を歌を聞いた者全てに影響を与えると言うものです。
この時に発揮された効果は、ジャックとの思い出、仲間の死、それらをより強く痛感させることで全員がその場に泣き崩れてしまいました、そして歌が後半に差し掛かるにつれて歌詞の内容が前向きなものへと変わっていき、やがて悲しみを乗り越えるだけの力を呪歌を聞いた全員に与えました。
追記となりますが、この時ザナハが感じて紡いだ「ルフガメア」の歌詞はジャック自身に捧げたものではなく、ジャックの死を受け悲しみに暮れている『残された者』へ捧げた歌となっています。
歌詞の単語ひとつひとつを見てもわかるように、詩の内容の殆どが『失う悲しみ』『孤独じゃない』というキーワードを密かに含ませたものになっています。
<歌詞に込められた解釈>
ここで表現されている「雨」とは、「涙」のことを指しています。大切な者を失い、止めどなく涙が溢れていてもそれが永遠に続くことはない、涙を拭い・・・そしていつか悲しみを乗り越えられる日が必ず来るんだと、そんな思いが込められています。
「きっとまた逢えると約束を交わしても、アナタの背中は時折永遠を感じさせる。すぐにまた逢えるから、さよならは言わないと。」これはザナハの想いが一心に込められている詩です、ジャックの為に歌わなければならない歌、悲しみに暮れる者達に捧げる詩。しかしザナハの脳裏には「彼」への想いが忘れられずに残っています。仮にもこの場で綴る歌詞ではないかもしれません、しかしだからこそ「彼」の真意を誰よりも切実に知りたい気持ちがザナハの中には残されていました。この歌詞の中に、そんな「彼」への想いが幾つか綴られています。無意識に紡いだ詩なのか、それとも胸に秘めた想いを歌に乗せて告白する為か。それはザナハ本人にしかわかりません。
前回「オーヌ」の時にも語りましたが、呪歌とは歌い手本人の気持ち次第で色んな形へと変化します。言葉や詩をただ並べてメロディーに乗せるだけでは呪歌になることはありません。
この「ルフガメア」を歌い、ザナハは初めてアンフィニとしての呪歌を発現させました。それはこの歌に込められた想いが何よりも強かったからという他ありません。
様々な詩、メロディー、そして気持ち。それらが一体となって初めて『呪歌』というものが生まれます。今後も色々な形をした呪歌を紹介していくつもりです。その際には本編で詳しく語ることのない歌詞の意味、その時の歌い手の想いなどを中心に解説・解釈をしていこうと思います。
もう少し時間がかかるかもしれませんが、次回は「ルフガメア」の原曲バージョンを紹介します。こちらの方は初代神子アウラが歌った歌詞として解説・解釈しますので、興味がありましたらぜひご覧ください。