オーヌ
オーヌ
オーヌ オーヌ
ヴァダール・ル・スォーア
ヴォーヴァ ノーダ
イーダル プルーダ フュムーノ
ルーレ ルーレ ヴァヌス レイ
オーヌ オーヌ
ヴァダール・ル・スォーア
ヴォーヴァ ノーダ
イーダル プルーダ フュムーノ
パティ・シ・ムニナ
オーヌ リレイア
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<現代語・直訳>
希望の光
希望よ 希望
わが胸に輝きを
光を 賛美を
栄光なる 導きを 今ここに
闇を 影を 砕く力を
希望よ 希望・・・
わが胸に輝きを
光を 賛美を
栄光なる 導きを 今ここに
我等は至高なる
希望の 礎なり・・・
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<解説>
光の国レムグランドに伝わる童謡であり、この『オーヌ』という童謡に限り『古代レヴァリアース言語』と『現代語』、それらを同時に覚えるのがこの国の風習となっています。作中でも述べていましたが本来『古代レヴァリアース言語』自体は一般教養ではなくその殆どが失われつつあります。
そんな中、全歌詞が『古代レヴァリアース言語』で統一され、完璧な形で残されているのは非常に類稀な例です。
この『童謡・オーヌ』だけは一般教養としてレムグランドに住む者の殆どが空で歌えるようになっています、穏やかな曲調とレム人としての誇りを綴った歌詞から、一般家庭で母親が我が子に子守唄として歌って聞かせるのもよく見られる光景となっています。
やがて学校へ入学すると音楽の授業などでもこの『オーヌ』が課題曲とされ、卒業式の日には恒例行事として国王の前で卒業生がこの『オーヌ』を歌い涙しながら、それぞれの希望を胸に成人していきます。
それ程この『オーヌ』はレムグラディオン人の間で親しまれており、歌詞に込められた『レムグラディオン人よ、崇高なれ』という信念を植え付けられていくのです。
長い年月の間この『オーヌ』の歌詞に込められた意味を読み解こうと多くの学者達が研究を重ねて来ました。この曲はラ=ヴァース時代の初代神子・アウラが作りだしたという歌であり、その詩を読み解くことはすなわちアンフィニに関する何らかの鍵が隠されているのではないかという学者が数多く存在しました。
しかしアウラに関しては後ほど述べますが、どんなに読み解こうと研究を続けても結局アンフィニに関する手掛かりは何も掴めていない。それが『ヴィオセラス研究所』内にある機関、『呪歌解読チーム』による答えとなった。
だが現在になって、この『オーヌ』が光の塔ルナがいるとされている『祭壇の間』へと続く扉を開ける鍵であることが判明。
他の呪歌で試したわけではないが、全歌詞が『古代レヴァリアース言語』で統一されているこの歌が精霊への契約の証として残されてきたのだとしたら合点がいくと、『ヴィオセラス研究所』の創設者でありレムグランド軍大佐でもあるディオルフェイサ・グリムはこう語った。
しかしながら『オーヌ』を歌うことで扉を開くことが出来るのは、やはり光の神子以外には不可能だと言う。
ここでひとつの疑問が生まれる、本来呪歌というものは光の神子・・・つまり宝珠をその身に宿すアンフィニでなければその効力を発揮することは出来ない。にも関わらず、歴代の光の神子達がルナの元へ辿り着きマナ天秤を操作してきたところから『オーヌ』を歌い、扉を開けたことになります。
周囲に影響を及ぼす呪歌と、扉を開ける為に歌われる呪歌とでどこか違いがあるかもしれないとオルフェは説いています。
ですが呪歌に関する資料も碑文もそれ程多く遺されているわけではないので、現代科学ではその全てを解明することは困難になっています。
現在、正当なアンフィニであるザナハ姫の存在により呪歌の研究が盛んに行われています。今後の戦いに呪歌が多用されるということもありオルフェの指示の元、呪歌に関するデータを現在必死になって取っているところです。
<歌詞に込められた解釈>
現在ではこの歌はレムグラディオン人の誇りの証として解釈し歌われていますが、本来は初代神子アウラが光の精霊ルナとの契約の証の為にと作られたものです。
歌詞の中で敬う言葉が多数使われているのは全てルナに対して賛美を送る為のものであり、『我等』とはレムグラディオン人のことではなく至高の存在である精霊のことを指します。
『闇』とは現在の解釈としては敵対国であるアビスグラディオン人に対するものと捉えていますが、実際には『ディアヴォロ』のことを指しています。
精霊の忠告を聞かずに人間達は魔法科学の多用、そしてディアヴォロを開発したことにより世界が滅亡する程までにマナが枯渇していきました。最終的にはディアヴォロを砕く力を得る為に人間達が精霊へと許しを請うことになりました。
そして許しを請う役割を担ったのが、唯一精霊と対話することが出来る特殊な一族の末裔・・・つまりアンフィニを宿したアウラが背負うこととなったのです。
アウラは平和や自然を愛する心から、精霊にその気持ちを伝える為にこの『オーヌ』を紡ぎ出しました。
『わが胸に輝きを』は、アンフィニの中に宿るとされている宝珠のこと。
『栄光なる導きを 今ここに』とは、フロンティアのことを指しています。本来フロンティアは魔道兵器ではなく全ての生命達を未来へ導く為の方舟という役割として捉えられていました。
『我等は至高なる 希望の礎なり・・・』は、勿論先程述べたように全精霊達のことを指します。この時点でアウラ達は殆ど全ての精霊と契約を交わす覚悟を決めていたことになります。
光の精霊ルナのいる祭壇への扉を開ける鍵がこの歌であったのは、ルナとの契約がいずれはフロンティアへと繋がる・・・という隠された意味を持っていたことになります。
現在ではただマナ天秤を操作する為だけにルナとの契約が重要視されてきました、なぜならフロンティアの存在そのものが曖昧なただの伝説と化してしまったからです。
そしてもうひとつの理由としては、アンフィニが生まれて来る確率が非常に稀有なところにあるからです。
年月が経つにつれてだんだんと歌詞の意味などが変わっていき、伝承も風化していってます。呪歌を発動させる為にはアンフィニとしての能力は勿論のこと、その歌詞に込められた意味を正しく理解しなければいけません。
現在遺されている呪歌を作ったアウラが一体何を想い、どんな気持ちで詩を綴ったのか・・・。
それはこれまでの風習などで刷り込まれた先入観を捨て去り、歌詞本来の意味を自分の力で読み解かなくてはいけません。
読み解く人間によって捉え方は様々です、呪歌とはマニュアル通りの歌ではないのです。
『古代レヴァリアース言語』の単語ひとつひとつの意味と、文章にした時の意味とで大きく異なって行くのと同じように呪歌も訳し方によって様々な解釈の仕方が生まれます。
正しく理解し歌うということは、アウラの気持ちに沿って歌うということ。
しかし呪歌にはアンフィニと同様に無限の可能性を秘めています、その時その時の歌い手の微妙な気持ちの変化によって呪歌自身も色々な顔を覗かせます。
マニュアル通りに歌い切るか、感情の変化に任せて自分のありのままの気持ちを歌詞にするか、それは歌い手次第となるのです。
一応原作となる「ツインスピカ」の物語の進行状況によっては、追記することもあると思います。
わざわざこれを読んでくださって、どうですか?後悔しましたか?(苦笑)
呪歌は今後も何曲か作詞していってますので、原作の進行状況を見ながら載せていくつもりです。
でも何十曲も作りません、恐らく4~5曲位しか作詞しないと思うのでこれが完結するのはきっとすぐだと思います。