本気で相手にすると思う?
リップサービスと思い、私は軽快に笑うが、バーナードは真剣だ。
これには「え」と、笑うのを止めることになる。
「レディ、私は本気だよ」
「え、え……」
「君と私。一度結婚を経験している。世間からは婚姻歴ありとみられ、一歩引かれてしまう。だからこそ分かり合える部分があると思わない?」
それはまさにその通りだ。バーナードはそれでも死別だが、私は世間的には「夫に愛想をつかされ、捨てられた女」と水面下で噂されていると思う。
「年下の未婚のエリートくんが、年上の婚姻歴ありを、本気で相手にすると思う? 社交界に面白おかしい話題を提供し、それでおしまいだ。傷つくのは、君だよ。君が傷つく姿なんて、見たくないな」
そもそもイーサンには、意中の相手がいるのだ。例え私が婚姻歴なしで、年下だとしても、彼の心を射止めることはできない。
「もうお互いのことは知っているだろう。後は私を君が異性として意識してくれるだけだ。焦るつもりはないよ。でもあの彼とデートするくらいなら、私とデートしよう」
アイマスク越しで私を見るバーナードの瞳は真摯であり、遊び半分で言っている言葉ではないと分かる。昔のような、気軽なお誘いではないと伝わってきた。
そうなると今ここで、「イエス」と答えると、真面目な交際前提になるだろう。
答えあぐねる私を見て、バーナードが快活に笑った。
「大丈夫。一度のデートでプロポーズなんてしないよ。ただデートをしたいだけだ。君の心の準備ができるまで、プロポーズはしない。だから安心して」
そう言ったバーナードが、サーモンとオリーブの実が乗ったピンチョスを食べさせてくれる。気さくに笑うバーナードに、ようやく私の肩から力も抜けた。
「友達として外出するなら……」
「分かったよ、まずは友達からで」
令嬢三人組が後ろを気にしながら、軽食部屋に入って来た。
そこでデートのお誘いの話は終わり、先日観たオペラの話をバーナードとしながら、おかわりでスイーツを食べる。
紅茶も楽しみ、フロアに戻ると……。














