昔も今も
「レディ、軽食コーナーへ向かわれますか? 私もご一緒しても?」
この声はバーナード!
振り返ると黒のアイマスク、王道の黒のテールコート姿のバーナードがいる。立ち止まる私の横に来たバーナードと、並んで歩き出す。
「さっきダンスしているのを見ましたよ。一体誰とダンスをしているのかと思ったら……さすが社交界の華だ。復帰早々、大物を釣り上げた」
「もう、バー……プレイボーイさん、彼とはそんな関係ではないの。彼にはちゃんと想い人がいて、私は彼の女避けみたいなものよ」
「へえ……。君を女避けに使うなんて。たいした奴だね。私だったらそんなことはさせないけれど」
そんなことを話していると、軽食部屋に到着した。
そこにはズラリと宮廷料理人が作った料理が並んでいる。
仔羊のカツレツサンド、ベーコンとほうれん草のキッシュ、エッグタルト。
食べやすいカナッペ、サーモンを使ったピンチョス、ピクルスなども用意されている。
その隣には、プルンと揺れる大きなゼリー、ババロア、フルーツポンチ。
チーズケーキ、フルーツタルト、パウンドケーキ。
マカロン、クッキー、チョコレートなど、もう迷うぐらいのスイーツも待ち受けている。
さすが宮殿の舞踏会だわ。
思わずごくりと喉が鳴ってしまう。
そんな私にバーナードはお皿とフォークを渡してくれる。
私はキッシュとカナッペをとり、バーナードはカツレツサンドとピンチョスをいくつかとり、あとは二人で白ワインを手に取った。壁際に用意されていた椅子に、二人並んで腰を下ろす。
「では素敵なレディとの再会を祝して、乾杯」
「プレイボーイさんに乾杯」
そんな軽口をたたいて、白ワインを口にする。
「君とこんな風にワインを飲める日がくるなんて。まるで昔に戻ったみたいだ」
「そんな風に私をヨイショしてくれるのは、プレイボーイさんくらいよ」
「まさか。君は昔と変わらず、美しい。ただ……丸くなったのかな? もう自分から男を虜にするような行動をとっていない気がする」
このバーナードの指摘には、苦笑するしかない。
確かに今の私は、自分のために恋愛テクニックを使っていなかった。そのテクニックはイーサンに伝授し、その過程でイーサンに翻弄された気がする。まさに弟子が師匠を凌駕していた。
「でも君が丸くなってくれてよかったよ。あの頃はライバルばかりだったから」
「プレイボーイさんの周りも、レディばかりだったわ」
「でも私は君に夢中だったよ。昔も今も」
リップサービスと思い、私は軽快に笑うが、バーナードは真剣だ。
これには「え」と、笑うのを止めることになる。














