勘違いしそうになる!
宮殿のエントランスに着くと、そこはいつも通り。
多くの貴族の馬車で大混雑。
馬車の中で仮面……アイマスクをつけ、エントランスに降り立った。
イーサンの仮面も私と同じ、目元を隠すアイマスクで、色は白でシルバーの装飾があしらわれている。そのアイマスクをつけると、なんともミステリアスな雰囲気になり、イーサンのハンサム度が上がる気がした。
そのイーサンにエスコートされ、エントランスホールを進むと、次々に声を掛けられる。皆、イーサンと分かり、でもまさかあのイーサンが仮面舞踏会に!?ということで、声をかけているようだ。
当然、隣にいる私が誰であるか、気になるだろう。
これが普通の舞踏会なら「こちらのご令嬢は?」と聞くことができる。でも今日は仮面舞踏会。名前や身分を尋ねるのはご法度だ。だから皆、「誰だろう?」と私を見ている。
そんな状態なので、なかなか会場となるホールに辿り着かないが、ようやく、到着できた。おそらく普通に歩いて行くより倍以上の時間がかかったと思う。
着いたら着いたで、またも声をかけられ……。
国王陛下が登場し、今日の舞踏会の開始の挨拶をするまでに、一仕事終えた気分だ。
私はただイーサンの隣で微笑んでいただけなのに。それでも沢山の人がいる場にいる。ただそれだけで疲れるものなのだと、今さら実感した。
ダンスの時間が始まると、イーサンはあのロマンス小説で学んだことをそのまま実践してくれる。
こちらはもう、心臓が止まりそうだった!
しかもダンスが終わった後、露出している肩にキスをしたり、壁ドンのようなことまでするのだから……どちらもロマンス小説に登場しているシーンだから、イーサンの意思とは無関係と分かっている。
それでも勘違いしそうになる!
完全に骨抜きにされ、クラクラしていたまさにその時、イーサンは知り合いらしい人物に声をかけられた。しかも立場的にイーサンよりかなり上位な様子。私は邪魔をしては悪いと思い、「軽食コーナーに行きます」と声をかけ、イーサンも応じた。
軽やかな音楽と、男女の笑い声、そして香水が漂うホールを出て、隣室へと向かう。
「レディ、軽食コーナーへ向かわれますか? 私もご一緒しても?」
この声はバーナード!














