セクシーに感じる。
受付の女性に名前を告げていると、「ローズベリー伯爵令嬢!」と名前を呼ばれ、ドキッとして振り返ることになった。そこで濃紺のテールコート姿のイーサンを見つけ、さらにドキドキとしてしまう。
ブルーシルバーのサラサラの前髪は、普段とは違う分け目になっていた。
それだけでも印象がガラリと変わる。
さらに濃紺のテールコートを着ることで、その宇宙を模したような紺碧の瞳も際立っているように感じた。何より驚いたのは、タイを飾る宝石、カフスボタン、テールコートのボタンに、撫子色の宝石を使っていること。これが実に上品で、似合っている!
まるで春の宵に浮かび上がる、桜の花びらのよう。濃紺のテールコートと撫子色の宝石は、相性が良かった。
すっかり私がイーサンに見惚れていると、イーサンはイーサンで、私のドレスに感動していた。
「まるで夜空から舞い降りた星の姫君ですね……。共にディナーを楽しめること、光栄です」
そんなリップサービスもしてくれるので、ご機嫌でエスコートしてもらい、予約していた席に案内してもらった。
窓際のこの席からは、ランタンに照らされた庭園が見える。だが初夏のこの季節は、東屋に注目だ。ここにピアノが置かれ、生演奏が行われる。さらに一時間おきに歌手が登場し、美声を響かせてくれるのだ。
今は丁度、ピアノが奏でられていた。イーサンはすぐにそれに気づき、喜んでいる。
「こちらのお店は、初めてですか?」
コース料理にしていたので、シャンパンを注文。
そしてイーサンに声をかけた。
「ええ。実は外食をすることがほとんどないのです。いろいろな行事もイベントも、屋敷で済ませてしまうことが多く。ですから王都にいながら、街のレストラン事情に疎いんですよ」
そう言ってイーサンは苦笑するが、私は「なるほど!」だった。
なぜならクラエス公爵家には、お抱えの調理人が、レストラン三店舗分もいるのだ。前世で言うなら、自宅にフレンチ、イタリアン、和食のシェフが揃っているという感覚。ならばわざわざ街のレストランへ行く必要はない。
そこでシャンパンが届き、乾杯になる。
イーサンがお酒を飲む姿を初めて見たが、シャンパングラスを持つその姿からして、絵になった。笑顔でグラスを掲げ、乾杯をして、グラスに口をつけるその動作は、実に上品。さらに一口、二口と飲む度に上下する喉仏。
異性の喉仏など意識したことがなかったが、こうやってイーサンを見ていると……。
セクシーに感じる。














