というわけで気分を改め
まさにヒロインとも言える愛らしい容姿をしており、爵位もちゃんとしたものだった。ノット子爵令嬢は。さらに王立ローズ女子高等学院を卒業しているのだ。身上書として見たら、申し分ないはず。それでもイーサンから声を掛けてこないのは、「きっと騎士団の任務が忙しいから」と都合のいい解釈をしていたのかもしれない。
でも今回の一件で、イーサンはかなりガツンとノット子爵令嬢を牽制している。もはや自分に好意がないことを、自覚するしかなくなっただろう。
これまでは従妹同士ということもあり、イーサンは遠慮していた。だがついに堪忍袋の緒が切れた。
ただ、これでよいのではと思ってしまう。
まずイーサンはこの恋愛レッスンを終えたら、本格的に結婚相手を探すはずだ。そこでイーサンが親しくなる令嬢に、ノット子爵令嬢が片っ端から眠り薬を飲ませていたら……。
とんでもない事態になる。
そうならない前に、ノット子爵令嬢がイーサンを諦めてくれたのなら、それに越したことはない。
何よりノット子爵令嬢は、若干、婚期が迫りつつある。それでもまだ、縁談話がないわけがなかった。今からでもちゃんと縁談をすれば、いい出会いがあるかもしれない。
だからノット子爵令嬢には、前を向いて頑張って欲しいと思っていた。
というわけで気分を改め、今日は街のレストランで食事をしながら、恋愛レッスンをすることになった。バレエ招待の御礼も兼ね、今回のレストランは私が予約をしている。
時間はイーサンの希望で、ディナーとなった。
ティータイムの後から、イブニングドレスに着替える。
選んだのは、濃紺のドレス。
身頃には、胸元を中心にたっぷりのビジューが飾られている。着席した時、目につく上半身が煌めくデザインなのは、まさにディナーにピッタリだ。
ただ、スカート部分も実に秀麗。
五色の紺色系のチュールが重ねられ、奥行きがあり、歩く度に色合いが変わって見える。
髪はハーフアップにして、銀細工の髪飾りで留めている。
お揃いのデザインのイヤリングとネックレスをつけ、完成だ。
今日、予約したお店は、ローズベリー伯爵家では、季節のイベントごとに利用しているお店だった。春はイースターのお祭りの時に。夏はバカンスシーズンで地方領からやってくる親戚や友人を案内するために。秋は収穫祭に合わせ、その年の採れたてを味わうために。そして冬はホリデーシーズンに絶品ディナーを楽しむため、訪れていた。
偶然だったのは、そのお店のシェフが、フィーレン国出身だったこと。店内には今回のバレエの公演に合わせ、公演を告知するポスターも飾られている。イーサンが一幕しか観劇できなかったことへのお詫びの意味でも、このお店を選んだ。
フィーレン国は、食文化も楽しめるということで。
ということで待ち合わせ時間より早めに到着するよう、屋敷を出た。
そしてお店に到着すると……。














